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私にもできるファンドレイジング:ソーシャルセクターのお悩み相談BOX 第11話

Q11・地域起こしするにも、人もお金も不足しています。経験の少ない私たちにもできるファンドレイジングってありますか?

A11・はい、経験の少なくても取り組めるファンドレイジングはあります。

「ファンドレイジング」とは、事業を進めるために必要な資金を調達のため個人、法人などから寄付、会費、助成金、補助金、事業収入等を集める活動の総称を指しています。

図1「多様な財源」

株式会社などの民間企業であれば、株式や社債を発行することも広義のファンドレイジング(資金調達)ですし、非営利組織の主たる4つの財源「寄付・会費・事業収入(委託収入含む)・助成金」と、金融機関などからの借入などの融資も範囲に入ってくるかと思います。

金融機関などからの資金調達(金融機関が預金者からお金を借りて必要な人に貸し出す)のことを「間接金融」と呼びますが、自前で資金を用意する(お金を必要とする相手に直接お金を出資する)「直接金融」にも、例えばクラウドファンディングや株式・証券などの金融賞金からの運用益など手段も多彩になってきました。

実はこれは大きな転換点で、例えば、あなたが新しい事業を始めようとしたときに、自己資金がそんなに多くない場合には、これまでだと金融機関に行ってお金を借りるぐらいしかありませんでした。どんな取り組みをしたいのかをまとめた「事業計画書」をつくって、市場環境から事業の成長性や収益性など客観的に判断できる資料を提示して、きちんと事業が回転して利益を出すので、何年たてばお借りしたお金を返済できますということをきちんと説明して、やっと審査に通ってはれて、融資が実行されるという流れでした。

ソーシャルセクター向けのものはなかなか審査が厳しく信用保証できるものもないので、大きな融資もなかなか進まないというのが正直なところでした。それが、例えば「子ども食堂」をつくりたいといっても金融機関でお金を貸してくれるところはなかなかありませんが、クラウドファンディングでプロジェクトをたちあげて周囲から「共感」を得ると、資金が提供されて実際に「子ども食堂」を始めて、子どもを含む多世代のお腹と夢をふくらませることができるようになります。

経験が少なくてもできるファンドレイジングには、例えば、以下のような方法があります。

1.クラウドファンディング

インターネット上で必要性を呼び掛けて、多くの人々から少額の寄付を募る方法です。クラウドファンディングのプラットフォームがたくさんあり、成功も失敗も含めて、あなたが参考にできる数多くの事例がすでにあります。

【参考事例】

◆クラファンで成功するためには:ソーシャルセクターのお悩み相談BOX 第10話

◆実践編)クラウドファンディングに取り組もう!!プロジェクト・ストーリーの書き方

◆今支援が集まっているクラファンプロジェクトの特徴とは

2.チャリティイベント

チャリティランチ会、 チャリティコンサート、チャリティオークション、チャリティ読書会など、様々なイベントを開催して、その参加費の一部として寄付を募ったり、持ち寄ってもらったりすることができます。予めチャリティをうたっているので、参加される方々もそれなりの心つもりをしてお越しいただけるので、できればお仲間を誘ってなどもいい方法です。

イベントの中でたくさんの募金箱を用意しておいて、いれるか入れないかではなく、どれに入れるかに置き換えるなどすると、さらに寄付が進みます。

【参考事例】

◆#16 ファンドレイジング・イベントを企画する―ファンドレイジング・コンサルタントへの道

◆#17 イベント協賛のアプローチをする―ファンドレイジング・コンサルタントへの道

◆#18 共感性の高い主催イベントのコツ―ファンドレイジング・コンサルタントへの道

◆#19 効果的なイベント出展のコツ―ファンドレイジング・コンサルタントへの道

◆非営利組織の得意技「イベント」の効果をさらに高めるには

3.募金箱

募金箱を用意して、寄付を募ることができます。募金箱は伝統的な手法の一つですが、募金箱は優秀な広告塔として、無人であっても団体や取り組み内容を紹介する旗印になってくれますし、また、つくる人、おいていだたける人、見る人、気にしていだたける人、募金に応じる人(寄付者)、と様々な日との繋がりも生まれていきます。

募金箱にお金を入れるとサインが出たり、面白い動きをしたりと、お金を入れることが楽しみになる仕掛けをこらしている事例も沢山あります。

【参考事例】

◆#07 ベストプラクティクスを研究して、提案の引き出しを増やす―ファンドレイジング・コンサルタントへの道

◆地域おこし人の条件から「共感の集め方」を学ぶ

4.寄付のお願いメール

実際には電子メールだけでなく、対面でのお願い、手紙、電話、ニュースレターなどを使ってのお願いで、個人や企業から寄付を募ることもできます。

具体的にどのような社会的課題に取り組もうとしていて、自分たちの取組はどんな課題解決につながるのか、いくらぐらいあればそれは実現できるのか、実現するとどんな良いことが起こるのかがわかるように簡潔でありながらエピソードが思い浮かぶようなお願いができると効果的です。

話が長くても、言いたいことが伝わらないと良くないので、予め「言葉を選ぶ」ことも忘れないようにしてください。

【参考事例】

◆共感の輪が広がる、周囲を巻き込む人の話し方~エレベータートークの実習から学ぶこと

◆ファンドレイジングって、結局、何?:ソーシャルセクターのお悩み相談BOX 第5話

◆「支援者への挨拶から始めよう」2020年からぜひとも実施したい取り組み

◆マネしたい!おばあちゃんに学ぶ共感コミュニケーション5つのコツ

◆人を動かす支援者コミュニケーションとは ~感情にフォーカスしたコミュニケーションを考える~

◆支援者のメールアドレスが少ない非営利組織のコミュニケーションを考える

◆P-05 キーメッセージを考える:広報的ファンドレイジングを強くする12のポイント

◆P-08 ツールのゴールと導線を整理する:広報的ファンドレイジングを強くする12のポイント

◆#03 周囲を引き寄せていくための話し方―ファンドレイジング・コンサルタントへの道

◆#04 話す前に~120%の準備で70%のチカラを発揮する―ファンドレイジング・コンサルタントへの道

◆ファンドレイザーはたくさんの人とコミュニケーションをとるのが良いのか?

◆初めてファンドレイジングを行うときにイメージしたいホップ・ステップ・ジャンプ

◆支援者に寄り添ったコミュニケーションを忘れない

5.寄付付き商品

商品の代金の一部が寄付に繋がるものです。実は何でも取り扱うことができ、「現金の寄付はちょっと」と二の足を踏まれる方にも、どうせ買うものだったからと寄付のハードルを下げることも可能です。

【参考事例】

◆#08 寄付のハードルを下げる「寄付付き商品」の活用―ファンドレイジング・コンサルタントへの道

2023年に話題になった国立科学博物ファンドレックスや日本ファンドレイジング協会では、ファンドレイジングに関する研修やセミナーを提供しています。研修やセミナーを受講することで、ファンドレイジングに必要なスキルや知識を身につけることができますので、ご参考に。

◆ファンドレックスセミナー

◆日本ファンドレイジング協会・研修

本稿で取り上げたい「ご質問」「ご相談」がございましたら、ぜひお聞かせください。


ソーシャルセクターのお悩み相談BOX

▷ 第12話:寄付依頼の手紙のポイントは?
▷ 第11話:私にもできるファンドレイジング
▷ 第10話:クラファンで成功するためには
▷ 第9話:寄付先選びのポイント
▷ 第8話:ファンドレックスのお仕事カタログ
▷ 第7話:中間支援組織に必要な機能は?
▷ 第6話:人が続かない、どうすればよいか
▷ 第5話:ファンドレイジングって、結局、何?
▷ 第4話:寄付額が減っている。どうしたらよいか?
▷ 第3話:週末に活動する財団をつくりたいのですがどうすれば良いでしょうか?
▷ 第2話:どのような法人格が良いでしょうか?
▷ 第1話:団体の世代交代を進めるうえで何が必要でしょうか?

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