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インパクトラボ

#04 話す前に~120%の準備で70%のチカラを発揮する―ファンドレイジング・コンサルタントへの道

前回に続いて話し方、トーク技法の第2回目。本稿は「ファンドレイジング・コンサルタントへの道」であるのに、なぜエレベータトークなのか、それは訓練手法の一つに過ぎないのではないか、という声が聞こえてきそうである。たしかに手法の一つであるが、肝心なところは「望みに応じて対応できる」ことを磨くためである。

「私たちのコンサルティングは話を聞くことから始めます」という保険会社の広告があったが、まったくその通りで、相手を顧みずコンサルタントの持っている知識経験をそのまま相手の団体に押し当てるとしたらどうなるだろうか?
しっかりとお話しを伺って、どんなニーズを抱いているか、何を求めているのか、どれぐらいの精度での切迫感か、等をしっかりと把握するからこそ、相手の心に響く提案に繋がる。相手の話を伺ったその上で、適切な提案やアイデア、役立つ情報を提供していく。

話を伺うために、こちらから的確な用語を使って、端的に語り掛け、相手の反応を含めて、話を引き出すのだ。「話を伺うために話す」「聴くために話す」のだ。戦略提案のために、現状の経営資源についての調査分析の一環として関係者ヒアリングを行うが、そうした時にも大変有効である。

話し合いの現場では、その場で、話のふり幅のレンジを対応させることが大切だ。相手の希望する内容をその場で提供できるかは満足度へと繋がる。特に相手の意識や技能のレベルに応じた提供を心掛けること。難しいことを言いすぎてはいけない。例えば、まだまだファンドレイジングの入り口に立ったばかりの人に、大手有名団体の洗練された事例や海外の団体が幅広い陣容で展開している事例を紹介すれば「すごいなぁ」とは思ってもらえるが、「自分たちには関係ない」と思ってしまって、そこから殻に閉じこもってしまうことになる。相手の経験などに応じて適切なアドバイスを行っていくためには。コンサルタントは、多くの事例や手法に精通していることに越したことはない。

また、研修や商談、ヒアリング等を進めるに当たっての準備は、十二分に行っておくことだ。その上で当日は、その場での新たな発想も加えて、準備した7割程度で話しできるようにする。その余裕というかゆとりが、相手に安心感を与える。これが逆だと求められている話に、ついていくのが精いっぱいで相手も食いついてこない。

120%の準備を行って、70%のチカラを発揮すること」は、話し方の黄金律でもある。

自分のことばで表現する、やる理由は「なにを?なぜ?どうやって?」

事業や戦略を語る際に大切な事は、「何ができるか」ではなく「何が変わるか」に力点を置いて紹介すること。そのためには、今一度WWHで絞り込むと際立ってくる。

  • What(何をやってるのか)
  • Why(なぜ私はこれをやってるのか)
  • How(どうやってやるのか)

なぜ「自分たちの事業がとびぬけているか」を一文で伝える

上記に続いて、自らの優位性を明確に伝えるため、以下を大切にする。

  1. ゴール設定が明確である
  2. 強調ポイントが整理されている
  3. ストーリーを語れ
  4. 専門用語を使うな
  5. 次のアクションを用意する
  6. スクリプトを作り込む

「ゴールを明確に伝える」とは何を語るのか

自分たちの事業がずばぬけていることを語る第一歩は「明快なゴール」を伝えることだが、具体的には、

  1. 自分が何者であるのか(自分がやる理由)
  2. どういう事業なのか(ビジネスとして成立する理由)
  3. テストの結果(人から求められている理由)
  4. あなたに話をしているわけ(記事を書いて欲しい、投資を受けたいなど協力を得たい内容)

エレベータートークの原稿を準備する

前回紹介した「エレベータートーク」は、研修のなかで提供しているスタイルで構成しているので1分間トーク前提だが、本来であれば、何分でも何をしゃべってもよいので、今回は具体的に原稿を用意することでポイントを紹介したい。

(前回記事)#03 周囲を引き寄せていくための話し方―ファンドレイジング・コンサルタントへの道

エレベータトークの構成要素としては、いろいろなものが考えられ、キーワードやエピソードなど相手の脳に記銘される項目をいれると良いことは紹介したが、話の構成要素として、できれば入れたらよいと思われるものは、自分は何者であるか(肩書)、どんなものか(商品名)、どんなメリットがあるのか、実施した時のインパクト(ベネフィット)、どのようなアクションを取ってほしいか(クロージング)は必須で入れたい。状況・背景・ビジョン・前提(相手の関心にからめる)も有効だ。

その上で、他にはないオリジナルなポイント(独自性)、魅力的な点(興味)、なぜこれに取り組んでいるのか、あきらめきれないのか、始まったきっかけ等、私の素直な気持ち(私の理由が込められていると、違いが際立ち、さらに説得力が増す)。

<必須項目>

言いたいことがうまく伝わる4つのステップ

話をしている内容を上記で書き出せたら、次はその構成。人は説得でなく、納得で心が動かされるので、それを促す構成になっていることは有効だ。

  • ステップ1「相手の立場を確認する」→的外れな会話を防止できる
  • ステップ2「相手の不安を探る」→相手が何に反応しているかをチェックできる
  • ステップ3「自分のスタンスを決める」→話がずれることを防止できる
  • ステップ4「A型、B型、C型を使って説得する」→わかりやすく意見を主張できるようになる
<話の構成>

こうしたものを組み合わせて、あなたの伝えたいことが端的に相手へ届くと、そこから共感が広がり、相手も同じ気持ちになって、あなたの思いを次は相手が周囲に伝えてくれるようになる。こうして共感は拡大していく。

プレゼンの基本はハリウッド映画にも通じている。ロサンゼルスの映画学校ではシナリオライターへ脚本の構成を教える際に、ストーリーをつくる(物語性)を強調されるが、まさにヒーロー映画のパターンは、物語に引き込まれていく構成になっている。
こうしたことを「インテンション・メッセージ」といい、それが効果的なのは、人が自主的に考えて、動くときの「思考」の進め方と同じ順序であるから。

あなたの知っている映画やドラマではヒーローはこんな軌跡をたどっているのではないだろうか

  1. 平和な日常
  2. いきなり困難が降り注ぐ
  3. ヒーローになることへの躊躇
  4. メンターの導き
  5. 数々の困難が待ち受けている
  6. 困難を乗り越える技の習得
  7. 問題の解決
  8. 再び、平和な日々(しかしながらヒーローは成長している)

ファンドレイジング・コンサルタントへの道

▷ #09 研修の組み立て方
▷ #08 寄付のハードルを下げる「寄付付き商品」の活用
▷ #07 ベストプラクティクスを研究して、提案の引き出しを増やす
▷ #06 ヒアリングを通じて、前向きな機運を醸成する秘訣
▷ #05 ヒアリングの技術を磨く
▷ #04 話す前に~120%の準備で70%のチカラを発揮する
▷ #03 周囲を引き寄せていくための話し方
▷ #02 コンサルタントに必要な技能
▷ #01 コンサルタントの役割

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