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寄付依頼の手紙のポイントは?:ソーシャルセクターのお悩み相談BOX 第12話

Q12・子育て支援NPOをやっていますが、支援対象が増えてきたので新たな寄付へのご協力をお願いしたいと思います。何か書き方のポイントや注意事項などがありますか?

A12・はい、効果的な寄付依頼の文書のポイントがあります。

少し前までは、お金のことを依頼するのは恥ずかしいというような風潮もありましたが、最近では災害支援やコロナなど誰にでも大変な状況は起こるので、その際に支え合い、助け合うのはもう当たり前で、寄付の依頼についても受け入れやすくなってきているなぁと感じています。

例えば、「寄付白書2021」(日本ファンドレイジング協会発行)によれば、年代別の寄付率は、年代が上がるごとに高まっていきますが、コロナ禍においては、最も寄付したのは20代でした。

性別・年代別の寄付者率

図1「性別・年代別の寄付者率」(https://jfra.jp/research

新型コロナ関連の寄付者率(年代別)

図2 新型コロナ関連の寄付者率(年代別)(https://jfra.jp/wp/wp-content/uploads/2021/11/GJ2021_infographic.pdf

生まれた頃から、東日本大震災をはじめ、熊本地震や台風、線状降水帯による豪雨災害などが毎年のように頻発する中で、特に変化に対して敏感な若い世代がリードして他の世代へ「利他的な行動」をとられることが多くなってきていると、能登半島地震での支援活動を見ていても実感しています。

他方で、そうした緊急・至急の事象は広く大きな影響を与えるので、自分たちの取組だけでなく、世の中の流れや気配を読んで、タイミングをよく見計らって進めていくというのも大切だと思います。こうした前提を踏まえた上で、寄付をお願いする手紙を書く際には、以下のようなポイントを大切にされたらと思います。

寄付者は団体自体のことよりも、その団体が「誰を、どのような方法で助けているのか」について一番知りたいのだということを忘れないようにしたいと思います。

潜在的な寄付者に出す手紙で欠かせない5つの要素

1.目的を明確にする: 団体が解決しなければならない社会的課題とは?

寄付をお願いする理由や目的を具体的に伝えましょう。受け手はその社会的な課題について全く知らないことを前提とし、何が問題で、団体は何を変えていかなければいかないかを明確にします。読者に共感を呼び起こす表現を使い、問題を十分に説明します。

2.解決するための手段:課題はどんな手段で解決するのか?

その課題には解決策があること、また団体の事業が解決策へどのように貢献できるのかを説明します。

3.具体的な使い道:解決に取組むには、どれくらいの金銭的支援が必要か?

寄付がどのような活動やプロジェクトに使われるのかを具体的に示すことが重要です。読者は課題解決にどれくらいの金額の支援が必要なのかを知ることで、その課題の規模というものが分かります。また、読者はこれだけ様々な団体が存在する中、寄付者は成果を出してくれる団体に寄付することを望んでいます。

寄付はどのように役立てられるのか?寄付したお金がどのような成果に結びつくのかをイメージしやすい形で説明を加えます。例えば1,000円、1万円、10万円、100万円で何ができるのかを明確に伝える。1万円あれば「そのうちのいくらは受益者の環境改善に、いくらかは指導者養成に」といった示し方もあります。

また「1万円の寄付者が100人集まるとこのような規模の調査ができて多くの人に現状の大変さを伝えることができます」という場合もあります。

4.寄付のしやすさ:寄付の方法を明確に伝えます

読者が簡単かつスムーズに寄付ができるよう、寄付の方法や手続きを明確に示しましょう。振替用紙を同封したり、クレジットでの寄付サイトのQRコードをつけたりもよく使われています。

以前からのご支援者の場合には、前回のご寄付は○○円でしたので、今回は○○円お願いできると嬉しいですと、書き添えたほうが進む場合もあります。

5.寄付のタイミング:なぜ「今」、寄付することが重要なのか?

寄付者がすぐに寄付アクションを起こすか起こさないかはその課題の「緊急度」に左右されます。今、寄付しなかったらどういう状況が起こるのかをアピールすることによって、後回しにされないで、今、そのプロジェクトに参画する最初の仲間となれることを伝えるのも大切な点です。

これらのポイントを意識しながら、読者に寄付の重要性や意義を伝える文章を作成してみてください。

手紙を実際に書きだす前に読んて下さい

寄付をお願いするということはお金を頂きたい、趣旨に賛同して協力して参加してほしいということを知らせる文書となります。そこで「手紙」というオリジナルの文章で構成された伝達方法では「相手を想う気持ち」がまず伝わることを大切にしたいと思います。

相手がどういう人なのかわからない状態ではお金を出すことはできませんし、しっかりした言葉もなく送られてきたのでは、読者は本当に寄付してもいい相手なのか、迷ってしまいます。添え状は依頼する人の質、品格をはっきりさせてしまうので、文書を読んで信頼してもらうためにも、手紙のマナー、添え状の書き方やコツを理解し依頼文に活かすことも重要です。

以下は、手紙の一例です。この手紙を参考に、あなたの思いを込めて手紙を書いてみてください。

寄付を依頼する手紙文例

尊敬する皆様へ

私たちのNPO法人は、長年にわたり子育て支援に取り組んできました。子どもたちの未来を明るくするために、教育、保健、福祉などのプログラムを提供しています。しかし、私たちの活動は皆様方からのご寄付で支えられており、皆様のご支援が不可欠です。

改めて皆様へお願いしたいことがあります。

私たちの活動に寄付をしていただけませんか?あなたの寄付は、子どもたちの笑顔や未来に直接的につながります。以下は、寄付の使途の一部です。

〇教育プログラム: 子どもたちに学習の機会を提供するために、教材や学習環境を整備します。
〇保健プログラム: 子どもたちの健康を守るために、予防接種や健康相談を行います。
〇福祉プログラム: 子育て中の親のサポートや家庭環境の改善を支援します。

あなたの寄付は、私たちの活動を継続させ、子どもたちの未来を明るくする力になります。どうか、ご検討いただければ幸いです。

心より感謝申し上げます。  NPO法人○○ 代表理事○○

本稿で取り上げたい「ご質問」「ご相談」がございましたら、ぜひお聞かせください。


ソーシャルセクターのお悩み相談BOX

▷ 第12話:寄付依頼の手紙のポイントは?
▷ 第11話:私にもできるファンドレイジング
▷ 第10話:クラファンで成功するためには
▷ 第9話:寄付先選びのポイント
▷ 第8話:ファンドレックスのお仕事カタログ
▷ 第7話:中間支援組織に必要な機能は?
▷ 第6話:人が続かない、どうすればよいか
▷ 第5話:ファンドレイジングって、結局、何?
▷ 第4話:寄付額が減っている。どうしたらよいか?
▷ 第3話:週末に活動する財団をつくりたいのですがどうすれば良いでしょうか?
▷ 第2話:どのような法人格が良いでしょうか?
▷ 第1話:団体の世代交代を進めるうえで何が必要でしょうか?

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