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IMPACT LAB

インパクトラボ

#01 コンサルタントの役割―ファンドレイジング・コンサルタントへの道

「ファンドレイジングのコンサルタントを目指す方々が、たくさん生み出されて行くこと」

私たちが2008年に日本初のNPO向けファンドレイジング専業コンサルティング会社として株式会社ファンドレックスを創業した時から、ずっと言い続けていることのひとつである。

コンペティター(ライバルとなる競合他社)が増加することは、脅威というよりは歓迎すべき状況で、それがソーシャル業界の底上げに広く寄与することになる。そこで、多様な担い手を取りまとめ、地域での橋渡し役となるコミュニティ財団などと連携する中で、メソッドやノウハウを惜しみなく提供してきた。

「そんなことをすると仕事がなくなるのでは?」と言われたが、実際には当社はもっと幅広く活動を展開しているので、12年以上、事業領域を拡大しながら継続してきている。

今回から数回にわたり、実際にファンドレイジングのコンサルタントとして独り立ちを希望する方々を対象として、当社独自のノウハウや心掛けていることなどを現場視点でお伝えしていきたい。

コンサルタントの立ち位置

まずは、事業者が実現したい状態を「共感」を軸とした周囲の巻き込みによって実現していくこと。コンサルタントは、時にはその主たる担い手として施策を推進し、時には第三者だからこそ事業者の中での担い手を育成していくために手本を示し、助言・指導を行い、時には事業がうまく展開されているかを豊富な知見から調査・評価することが求められる。

実は自らが担い手となるよりも、指導や評価を通じて、相手の変化を促していくことのほうがより高度なけん引力が必要となる。100の事業者には100の運営がありフィロソフィーがある。状況に応じて、事業者のメンバーがそれぞれの役割を果たせるように支援すること。コンサルタントのスタイルが事業者の現況や要望を認識・理解し、次に事業者を構成するメンバー、そして自分自身に対しての責任を果たしていくことに繋がることは、心に留めておくべき重要なことである。

個々のメンバーに対して

指導や示唆の目的は、メンバーの知識を豊富にして、困難を突破する技術を向上し、その心構えを修正することができるよう援助すること。これはメンバー自身の自己啓発と業務能力の向上、事業者の躍動的な変化を促すものとなる。こうした場合、コンサルタントは、いわば「トレーナー」として、いろいろな段階の介入をしながら、以下のような役割と責任を果たしていく。

  • 始動者として
  • 促進者として
  • 解決策の提供者として
  • 資源の仲介者として
  • 代弁者として

事業者に対して

事業者には決まったやり方というものは1つではなく、100の事業者には100通り以上の方法が存在している。そして事業を積極的に推進していくためには事業者本体の組織に属するメンバーと、その周りに彼らを支援するメンバー(支援者)が存在する。

相互関係が適切であるか、正しく機能しているかを見ることも必要だ。そして、この構成は時々に応じて変化をみせていく。千差万別な形態と構成を組織を取り巻く環境の中で、他との距離感、対外関係などから独自性を見極めて、適切な位置取り(ポジショニング)を見出し、導くこともまた、重要な役割だ。

自分自身に対して

コンサルタントは、自身も技能向上する責任がある。さらに協力関係者として援助を行う全員が、各々の求められている役割に対して適切に能力を発揮しているかを見極めて、適正に訓練されるよう配慮する責任も持つ。もしも、協力関係者がある面で不十分だと感じられたら、その改善を申し出る責任も持つ。

協力関係者との緊密な関係性と水準を保つことが、総合的な支援・指導に有効性を達成することができる。水準を保つことは、事業者側にとっては、信頼の元となる。

コンサルタントが求められる役割

様々な役割で介入していくことを解説する。

いろいろな段階に介入するためには以下の5つの機能を組み合わせて展開する。従って、私たちが要求される総合的な知識・技能・心構えとは、これら5つの機能を果たせるためのものである。

始動者として

理由は様々だが、たいていの人は進んで新しいことを始めようとはしないものだ。中には、今までうまくいっているのだがら新しいやり方は馴染まないと、やってもいないのにその必要性を認めず、現状維持で充分だと抵抗する人もいる。変化を恐れ、慣れ切った現在の世界から離れて全く新しい世界へ入ろうとしないのだ。中には、以前に取り組みしたときにうまくいかなかった辛さを思い出して、新たな挑戦が愉快な経験になるとは思えない人もいる。

新しく挑戦することを渋っている人たちには、事業の目的を説明したり、他の動向を含めて情報を提供したり、動機づけをして促したり、挑戦するように仕向ける。

また、現状を厳しく見つめさせて、課題点を指摘して、人々が変化の必要性を自覚するように援助しながら、課題解決のプロセスを次に進めていくように仕向けていく。場合によっては、自らの言動振る舞いが組織の中でのリーダーとして求められていることの「身近なお手本」として示していくこともある。その際には、率先垂範するだけでなく、評価のプロセスにもふれるようにする。人は誰でも最初からうまく振舞えるわけではない。しかしながら、現状のうまくいった点、うまくいかなかった点を評価して、次の改善につなげていくことで成功も失敗も全て得たものとして活かしていくことができる。それで段々とできる範囲が拡大していく。メンバーは自らの状況と能力を分析し、必要な取り組みについて気づくことができる。達成するための適切な助言を与えられるように客観的な観察と事実をフィードバッグすることは大切な務めである。

促進者として

自ら必要な成長を認識した時に、たいていの人は学習のプロセスというものは自分で回していくものだということを知らないで「誰かから教わる」ことばかりを期待して、ただひたすら傾聴する態度に終始することがある。そうした場合には「どのように」という水準とニーズをはっきりさせて、目標を立てさせ、どこから取り組みするかについて具体的に援助する

援助の方法としては資料を示したり、解決策を選ばせたり、評価する方法を提示するなどであるが、この場合、相手方の立場には立ち入らず、あくまで補助する立場を保つ。例えて言うならば、野球のコーチが守備の練習をさせる際に最初は球がとれるようにノックしていくが、それでは伸びないので、だんだんと守備範囲の瀬戸際に打球を狙い、言わばグローブの「球一個先」へ慣れさせることで、守備範囲を広げていくような感覚だ。

必要な情報と適切な援助を与えさえすれば、相手方は問題をはっきりさせて、解明することができる。この場合の私たちの役割は、いわば、自分の実力はどれぐらいなのか、それを伸ばすためにはどんな取り組みをすればよいか、それはどこで得ることができるかを知り得るような状況を創り出すことである。そしてさらに、必要とされるものを得られるような状況をつくり、時には自ら研修を主導して、あるいは必要な橋渡しをして、必要なことを得る場、環境を用意する。その場合でも、必要なことが充分に満たされているかを見極めていく必要がある。

解決策提供者として

優良な解決事例に数多く触れて、いわゆる「引き出し」を多くしていくこと。まずはここから始まっていく。しかしながら、全ての課題が、新しい解決策を必要としているとは言えない。中には他人の経験から学ぶことで最も早く解決策に結びつけることもできるが、その場合には必ずしも優良事例の中から吟味して既成の解答を与えることが全てではない。

有能な解決策を提供する者であるためには、ただ単に数多くの事例を知っているだけでは不十分である。事業者の状況と資源を見つめ直して、置かれている状況に適切な解決のプロセスを描いた上で、それらがもたらす効果について配慮して、正しい方法を選択すること。また場合によっては、現況に合致した解決策を既存の幾つかを組み合わせたり、新たに創出したりすることが必要である。特に「異業種に学べ」はけだし名言である。

資源仲介者として

課題解決とは、必要とされるところに解決策を結びつけること。しかしながら、全ての課題への解決策としての資源を持ち合わせている人は存在しない。私たちは、持てるネットワークを駆使して、資源仲介者として必要としているところに資源をつなぐ役割を果たすことが求められる。この場合の資源とは、役割を果たすことができる人々、資料、事例、学習の機会などを含んでいる。繋がりとして知り合いが多くいるだけでなく、技能・経験・知見・ノウハウ・情報などを持つ、また期待できる活きたネットワークを持つこと。そのためには自身の有益性を提供することも強固な繋がりを維持することとなる。

代弁者として

往々にして、組織の代表者は、自らの意志を周囲にうまく伝えられていないことがある。こうした場合、組織の構成者や外部の支援者に対しても、意味をかみ砕いて組織の意志として、伝えていくことが求められる。また、組織の構成員も課題解決に有効な手立てや意見を持っていながら、様々な状況から組織内で立場が軽視されていたりして、発言が採用されない場合もある。この場合には第三者でありながら、経営陣にとって有益な助言者、いわば参謀として意見を聞き入れられる立場を活用して、そうした意見を代弁して伝えていく。

これらを実現するために、自らを見つめなおし、磨きをかけていくことが求められている。

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