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#15 計画の進捗を管理する―ファンドレイジング・コンサルタントへの道

前回には事業計画の立て方について紹介したが、いかにしてよい計画を立てたとしても、実際に運営していく中で、うまくいかないことも多い。そこで計画の進捗について確認しながら、改善を促し、できなかったところをできるようにしていくことで、計画は実行力を持ったものになっていく(だからと言って、計画や準備もなく闇雲に始めていけば良いというわけではない)。計画が前に向かって動き出す=「進む(すすむ)」+物事がうまく仕上がっていく=「捗る(はかどる)」を組み合わせた「進捗」ということについて、いくつかの手法を今回は紹介したい。

1. Plan Do See法

アメリカのW.E.デミング博士の提唱したマネジメントの基本的な手法。
管理は、まず慎重にかつ綿密に「Plan(計画)」をたて、勇気をもって「Do(実行)」し、その結果を整理・分析・評価の「See(統制)」することで評価反省・改善修正を行って次のサイクルに進むことができる、というもの。Plan Do Seeと進むサイクルを「デミング・サークル(またはデミング・ホイール)」と称して管理の基本としている。

デミング・サークルを詳細化すると次のようになる。プロジェクトを進めていくにあたって、運営上または管理上の問題が生じた場合、この(管理のPDSホイール)の各項目ごとにチェックによって、停滞している要因が顕在化して問題解決の糸口が得られ、また改善への手がかりにもなる。

図1: Plan Do See

計画

  • 目標を設定する
  • プログラムを作成する
  • スケジュールを策定する
  • 予算を編成する
  • 予測する
  • 組織を設ける
  • 基本方針を策定する
  • 実施方法を策定する
  • 基準を設定する

実施

  • 指示する
  • 要員を配置する
  • 教育指導する
  • 監督する
  • 権限を委譲する
  • やる気を起こさせる
  • カウンセリングをする
  • 調整する

統制

  • 差異を分析する
  • 成果を測定する
  • 評価する
  • 是正措置をとる

2. PDCAサイクル

プロジェクトを成功裏に完了させることを目指して行われるプロジェクト・マネジメント法(プロジェクト管理)として良く知られている。これにはプロジェクトを構成する各活動の計画立案、日程表の作成、および進捗管理が含まれる。「プロジェクト」の定義については、「独自の成果物、またはサービスを創出するための期限のある活動」としている(プロジェクト・マネジメント協会)。ここではタスクとは「ひとつの組織、グループ、個人が実行する短期的な活動」を意味する。前述のPlan Do See法をさらにサイクルとして回していくと理解すればよい。
実際の場面においては、最初はできなかったことを少しずつの改善を積み重ねて、できなかったことがやがてできるようになっていく。このようにあらゆることがプロジェクト法によって意識づけられているという見方もできる。
(ねらい)
経験者でないとできないなど、属人的要素に頼ることなく、体系だったプロジェクト・マネジメントの手法を使用することで技術の伝達や標準化が可能になり、プロジェクトの成果が高まることが期待できる。

プロジェクトの特徴

  • 明確に定義された目標
  • 必ず開始時点と終了時点がある
  • 永続的でない一時的な組織が担当する
  • 1人のリーダ(プロジェクトマネージャ)と複数のメンバーから構成される
  • 目的達成のための予算が与えられる
  • いくつかの工程から成り立つ
  • ライフサイクルの各段階で必要資源が変化する
  • 予期できない事態が発生することがある
  • 後工程ほど変更・修正の困難度が増す

プロジェクト・マネジメント活動が成功する条件

  • 期限内に
  • 予算金額内で
  • 期待レベルの技術成果のもと
  • 割り当て資源を有効活用して
  • 顧客が満足する状態で   完了する

プロジェクト・マネジメントに含まれる活動

  • 企画
  • リスク測定
  • 利用できる資源の見積り
  • 作業の系統化 WBS (Work Breakdown Structure)の作成
  • 必要な人的・物的資源の確保  ・費用の見積
  • チームメンバーへの作業の割り振り ・進捗管理
  • 目的に沿った結果が出るように作業の方向性を維持する
  • 達成した結果の分析

PDCAサイクル

計画 (Plan)、実行 (Do)、チェック/評価 (Check)、改善/是正 (Act)という管理サイクル(PDCAサイクル)が常に稼働している。
PDCAサイクルの例

図2: PDCA

立上げプロセス

  • プロジェクト存在の認識
  • プロジェクトが達成すべき事柄の認識
  • ゴールの設定
  • 利害関係者の期待の明確化
  • プロジェクトスコープの明確化
  • プロジェクトメンバーの選定

計画プロセス

  • バランスを考慮したプロジェクトスコープの詳細化
  • 作業のリストアップ
  • 作業の順序付け
  • スケジューリングと予算
  • 利害関係者からの承認の獲得

実行プロセス

  • チームの統率
  • メンバーとの面接
  • 利害関係者とのコミュニケーション
  • 問題を解決する闘争心
  • 必要な資源(カネ、ヒト、モノ、時間等)の確保
  • 監視・コントロール・プロセス
  • チェックと是正をまとめて監視プロセスと言われる
  • 計画のずれを把握
  • 計画の修正活動
  • 利害関係者からの変化項目の受理と評価
  • 必要に応じたスケジュール変更
  • 必要に応じた資源量の変更調整

終結プロセス

  • プロジェクト実施結果と成果物の確認
  • 作業の終了とチームの解散
  • プロジェクト経験から得た教訓のまとめ
  • プロジェクトプロセスの結果の反省
  • 最終報告書の作成

3. ガントチャート法~工程の進捗と日程管理の王道

アメリカのH.M.ガントの創始した日程図表の一種で、工程管理には不可欠な計画書。別名「線表」。建設現場などでは、例えば土台ができてからでないと棟上げができず、外装、内装も進められないことから、各工程の進捗管理とグレート(Aが終わらないとBに移れない条件)を確認するために、活用されている。一般的には、実施された部分は「消し込み」と称して赤線等で記入していく。

様々なイベントなどにおいて「準備日程表」としてだれが、いつまでに、何を、どの期間、どの順序で、どんな作業をするのかをみんなが一覧できるところに掲示しておくことは、運営上、大変重要。

図3: ガントチャート

4. PERT法

Program Evalation and Review Techniqueの略
Project Evalation and Review Techniqueとも言われる

プロジェクト・マネジメントのモデルの一種であり、プロジェクトの完遂までに必要なタスクを分析する手法。1958年アメリカ海軍のポラリス潜水艦発射弾道ミサイルの開発プロジェクトでこのシステムの持つ固有な複雑さに対処するために、多くのプロジェクト・マネジメントの手法が導入されたが、そうした技法の中のひとつとしてブース・アレン・ハミルトン社によって開発されたスケジューリング技法。それ以前には大規模に使用されていたより単純なガントチャートはPERT法により駆逐され、アメリカ政府の一部の契約では、PERTを管理手法の一つとして義務付けられた。

PERT法は、対象とするプロジェクトの完遂に必要なタスクを分析する手法であり、特に各タスク完了に必要な時間を分析し、プロジェクト全体を完了させるのに必要な最小時間を特定する。主として大規模で複雑なプロジェクトの計画立案とスケジューリングを単純化するために開発されていて、全作業の正確な詳細と期間が不明であっても、不確実性を含んだままプロジェクトのスケジューリングが可能になっている。開始・終了指向というよりもイベント指向の技法というべきであり、コストよりも時間が主要な要因となる研究開発プロジェクトや、非常に大規模で1度限りの紋切り型でない複雑なプロジェクトに向いている。

図4: PERT法

PERT法では「アローダイヤグラム」と呼ばれる、線表を矢印で相互接続してネットワーク化された図表で図示される。この技法の特色は各種の実施計画の選定に役立つ。また、作業の執行に伴って発生してくる障害やボトルネックを早期発見することができ、それを手かがりに対策を講じることが可能になる。ガントチャート法は日程管理には便利であるが各項目の前後の関連や変化による影響などがわかりにくいため、複数の要素が絡み合う複雑な工程の事業においてはPERT法が有効となる。

PERT法の用語

  • PERTイベント
    • 1つ以上のタスク(作業)の開始または完了の区切りを示す。
  • PERT作業
    • 実際のタスクを実行すること。作業には時間がかかり、リソース(労働力、材料、場所、機械など)を消費する。かかる時間、労力、リソースなどで表す。PERT作業は先行するイベントが完了する前に完了することはない。
  • アクティビティの3つの時間
    • 「楽観的時間」 (O)作業やイベントが予想よりうまく進行した場合(最小時間)の見積。
    • 「悲観的時間」 (P)全てが予想より悪く進行した場合(最大時間)の見積。
    • 「最確時間」 (M)全てが普通に進行した場合(最頻時間)の見積。
  • 期待時間 (TE)
    • タスク完了に要する時間の最良見積もり値(これぐらいの時間ならば合理的に期待してよいというもの)。全てが普通に進行すると仮定する(そのタスクを何度も繰り返し実施したときの平均時間)。TE = (O + 4M + P) ÷ 6
  • クリティカルパス
    • 最初のイベントから最終イベントまでの最長経路。これにより、プロジェクトに要する期間が決定され、クリティカルパス上の遅延はプロジェクト全体の遅延に直結することを意味する。
  • リードタイム
    • 特定のPERTイベントが完了する前に完了させる必要のある作業に十分な時間を与えるため、先行イベントが完了しなければならない時間(期日)。
  • ラグタイム
    • 後続イベントが特定のPERTイベントに続いて完了可能な最速時間(期日)。
  • スラック
    • あるイベントの完了までにかけられる時間とリソースの量。スラックがプラスであるとは、スケジュールより進行が早いことを意味し、スラックがマイナスであるとは、進行が予定より遅れていることを意味する。スラックがゼロであるとは、予定通りに進行していることを意味する。
  • フロート
    • タスクが遅延しても後続タスク(フリーフロート)またはプロジェクト全体(トータルフロート)に遅延を及ぼさない余裕時間。スラックもこれと同義に扱われることがある。
図5: PERT法の進め方

PERT法の進め方

  1. プロジェクトに必要なタスクをすべて洗い出し、それらの完了順序を決定すること。
  2. さらに所要時間(日数)などを通常時の見積もりを行う。
  3. 一部のタスクは同時進行できるが、他のものは先行タスクが完了しないと実施できない等を考慮する。
  4. タスクの見積もりを楽観値、最頻値、悲観値で見積もりして、期待時間を計算する
  5. それぞれのタスクを矢印でネットワーク化していく。(アローダイヤグラム)
  6. 次に図に情報を追加する。
    1. 作業名
    2. 標準見積もり時間
    3. 最早開始時刻 (ES)
    4. 最早完了時刻 (EF)
    5. 最遅開始時刻 (LS)
    6. 最遅完了時刻 (LF)
    7. スラック(結合点余裕時間)
  7. まず、最早開始時刻(ES)と最早完了時刻(EF)を決定する。ESは全先行作業のEFの最大値で定義される。その作業が最初の作業の場合、ESは0となる。EFはESにその作業の見積もり時間を足した値となる。
  8. 次に 最遅開始時刻(LS)と最遅完了時刻(LF)を決定する。これによって、各作業にスラックがあるかどうかを示すことになる。LF は全後続作業の LS の最小値と定義される。最後の作業の場合、LFとEFは等しい。LSはLFからそのタスクの見積もり時間を引いた値になる。
  9. 続いて、クリティカルパスを決定し、もしあればスラックのある作業を特定する。クリティカルパスは完了までの最長の経路である。このため、全経路についてタスクの見積もり時間の累計を計算する。スラックのある作業はプロジェクト全体には影響を与えずに遅延させることができる。スラックの計算方法は2種類あり、LF – EF または LS – ES で求められる。クリティカルパス上の作業のスラックは常に0である。

ファンドレイジング・コンサルタントへの道

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