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インパクトラボ

寄付先選びのポイント:ソーシャルセクターのお悩み相談BOX 第9話

Q9・12月は寄付月間でもあるので、どこかに寄付したいと思っていますが、どんなことを気にしておけばよいですか

A9・「欲しい未来へ 寄付を贈ろう」をスローガンにして、寄付月間(Giving December)」は、NPO、大学、企業、行政などで寄付に関わる関係者が幅広く集い、寄付が人々の幸せを生み出す社会をつくるために協働で行う、12月1日から12月31日までの全国的なキャンペーンです。(https://giving12.jp/
特に年の瀬にあたり、個人の方が今年一番の取り組みを振り返ってみて、さらに「寄付について」考える機会になればと思っています。

そうした趣意をくみ取って、どこかに寄付しようと思っていただいた心持ちに触れて、大変うれしく思っています。

ずいぶんとたくさんの社会貢献団体があるので、どれが良いのかわからないというのが正直なところですよね。ぜひ寄付することが、まるで空気を吸ってはくという呼吸のような日常になるように、しっかりとポイントをお伝えして、あなた自身にも小さな成功体験に繋がるようにしていきたいと思います。

寄付先を選ぶにはまず「これが大事!!」

まずはあなた自身が興味や関心のある分野や活動領域のところが候補となりますよね。ひょっとしたら、気になっている社会的課題や取り組みしている団体のことが気になるというのも、ここに入ってきます。

それはあなた自身の課題感がある分野ということになり、その延長線上にはあなた自身が大切にしている価値観などが反映しています。具体的な団体はわからなくてもこの分野というのがわかれば、それを使い道として選び出すことができます。

以前にあるスポーツ選手が寄付先を選ぶ際に、ほかの選手が車いすを贈っていたのが、自分は他とは違うところにしたいと探して、ワクチンを贈る団体を選んだと伺ったことがあります。他の人が寄付していない分野をあえて選び出すなど、こうした選び方もあります。

まずはご自身としての関心がある、こだわりをもちたいところは何かを考えてみてください。

[分野性]チェックポイント

  • 活動内容に特徴をもち、社会的な問題の解決へ挑戦している
  • 活動を通じて、誰も気づいていなかった分野の課題を教えてくれる
  • これまでの活動をみると、一定の実績と成果を上げている

図1平常時

寄付する前に確認したい「信頼できるかどうか」

自分として課題感を持つ領域を認識できた。そして、その課題解決に取り組みする団体もわかった。そこに寄付しようとする前に、ちょっと立ち止まってご確認いただきことがあります。それはその団体は信頼できるところであるかということです。

先ほどの分野性のチェックリストにも上がっていますが「一定の実績と成果をあげている」、つまり歴史を積み上げて信頼の元に活動していること。または法人格を取得して、活動を永続的にしようと「腹をくくっていて」、さらに認定NPO法人や公益財団法人など、寄附金控除が受けられるように様々な審査を経ていること。

それ以外にも助成金を受けているとか、非営利組織評価センターからグッドガバナンス認証を得ているなど、第三者機関がお墨付きを与えていること。あるいはふるさと納税の収納先である自治体や行政機関などは、わかりやすい信頼となりますね。

また、代表者のみならず、スタッフメンバーと知り合いになっていて、あの人を応援する気持ちで寄付するというのも信頼性の証です。

[分野性]チェックポイント

  • 法人格を持ち、3年以上の活動履歴がある
  • 年間活動予算の規模が1,000万円を超えている
  • 個人寄付者が100人以上いる(寄付額から割り算して3,000円以上集めている)

しっかりと社会に役立つ寄付になるか?

さらに達人となるためには、多くの人がわずかずつ差し出した寄付を積み重ねて大きな力にして、どんなことに役立てようとしているかです。

「言われてみると寄付の使い道は、なんだかよくわからないが、あの人がやっているのだから大丈夫だろう」ということもあるかもしれません。

寄付は自由意思によってなされるので、それでも良いかもしれませんが、せっかくのあなたのお金の一部を差し出すのですから、寄付の使い道はわかりやすいか、社会に役立つ使い道となっているか、いままでにもその取り組みでしっかりと効果はでているか、などを見つめていくと、しっかりと社会にインパクトを与えているかがわかってきます。

[透明性]チェックポイント

  • 活動の詳細や寄付の使途がホームページやレポートに公開されている
  • SNSやメルマガ、ブログなどを活用して情報発信している
  • 支援者向けの報告会などのイベントを開催している

災害時にかわる選定ポイント

ここまでみてきたのは平常時の選び方で3つのポイント「分野性」「信頼性」「貢献性」は、割と均等にとらえられて選択のポイントになっているかと思いますが、災害が発生したり、すぐに役立てる必要があるなどの緊急時には、このバランスが変わり、興味関心があった分野=緊急支援が必要、という分野が一番の理由になって選ばれていきます。

これは、寄付を受け入れる団体側に言えることですが、だからこそ、受け入れのオンラインサイトなどでは、緊急性をうったえかけるのは当然ながら、できるだけクイックに「信頼性」「貢献性」を確認できるように説明をしてもらいたいと思います。

図2緊急時

本稿で取り上げたい「ご質問」「ご相談」がございましたら、ぜひお聞かせください。


ソーシャルセクターのお悩み相談BOX

▷ 第17話:「不確実性の時代」にわたしたちはどう備えるか
▷ 第16話:デジタルツールの導入で備えること
▷ 第15話:ソーシャルセクターはいつまでも清く貧しく?
▷ 第14話:20周年でできること
▷ 第13話:寄付目標額を立てるには?
▷ 第12話:寄付依頼の手紙のポイントは?
▷ 第11話:私にもできるファンドレイジング
▷ 第10話:クラファンで成功するためには
▷ 第9話:寄付先選びのポイント
▷ 第8話:ファンドレックスのお仕事カタログ
▷ 第7話:中間支援組織に必要な機能は?
▷ 第6話:人が続かない、どうすればよいか
▷ 第5話:ファンドレイジングって、結局、何?
▷ 第4話:寄付額が減っている。どうしたらよいか?
▷ 第3話:週末に活動する財団をつくりたいのですがどうすれば良いでしょうか?
▷ 第2話:どのような法人格が良いでしょうか?
▷ 第1話:団体の世代交代を進めるうえで何が必要でしょうか?

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