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3回目:バースデードネーションとは?ー新人コンサルタントのFR学習帳

バースデードネーションとは?

自分の誕生日に寄付を集めることです。日本語では、誕生日寄付といいます。私が、私の誕生日に国際協力や貧困の子どもたちを支援するために、友人や親戚から寄付を集めることがバースデードネーションにあたります。また、私の誕生日だけでなく、親や子供の誕生日に応援したい団体の寄付を集めることもバースデードネーションとされています。

現在、バースデードネーションは、結婚式や卒業式、創立記念日にファンドレイジング(寄付集め)するまでに広がっています。将来、バースデードネーションは、アニバーサリー(記念日)ファンドレイジング(非営利活動の資金集め)に大きく飛躍していくかもしれません。

私の失敗談

皆さんが、バースデードネーションを正確に理解するために、とても役立ちますので恥を偲んで私の失敗談をお伝えします。私が、2022年7月の誕生日に行った寄付は、正確にはバースデードネーションではないと分かりました。具体的にお話しします。私は、昨年7月に自分の誕生日に私のお金を寄付しました。その時、私は、たしかに、寄付(ドネーション)をしました。しかし、私は、友人知人に呼びかけて寄付集め(ファンドレイジング)をしていません。私は、てっきりバースデードネーションだから誕生日に寄付することだと誤解していました。

バースデードネーションを国内外問わず調べてみると、それは、周囲の方々から誕生日に寄付を集めることだと分かりました。ちなみに、海外サイトを検索すると「Birthday Donation」よりも「Birthday Fundraising」 の方が検索数も多く情報も豊富でした。今後、広義の意味で、バースデードネーションが、誕生日に寄付することも含めて拡大解釈される日を期待しています。その時、私は「先駆けて2022年7月にやりました!」と後輩に自慢することでしょう。

バースデードネーションの効果は?

皆さん、誕生日に友人や家族からプレゼントをもらうことに気後れしたことはありませんか。そんな方に朗報です。来年は、誕生日プレゼントをもらう代わりに、誕生日寄付をやってみませんか。きっとポジティブな効果をもたらしますよ。なぜなら、寄付には多幸感を高める効果があり、皆さんがバースデードネーションをした場合、プレゼントをもらうあの申し訳ない気持ちを軽減すると同時に、皆さんの家族や友人の幸福感を高めることができるからです。つまり、バースデードネーションには、一石二鳥の効果を発揮する効果があるんです。面白いファンドレイジングですね。

もう一歩踏み込んで、寄付先についても考えてみましょう。私たちは、一度でも寄付することで、どこか遠くの国の悲しい現実だったことが、SNSやイベントで目にする機会が増え、自ずと興味関心が湧き、支援団体とその社会課題について自分ごとになっていると気づくことがあります。いいかえれば、バースデードネーションのもう1つの効果とは、私たちの社会意識を高め、社会とのつながりを深まるきっかけをもたらす効果があるといえます。

バースデードネーション海外事情5選

charity:water(チャリティーウォーター)

バースデードネーションの発祥はアメリカです。元々、アメリカには誕生日に寄付する習慣がありましたが、バースデードネーションの先駆けとして広がりをみせたのが、charity:waterです。創設者スコット・ハリソンが2006年9月9日に団体設立と自分の誕生日を祝うために誕生日パーティを開きました。その参加者に20ドルを寄付してもらい、一夜にしてクリーンウォータープロジェクトのために15,000ドルを集めました。これ(https://archive.charitywater.org/get-involved/pledge-birthday/history/)を機に、全米でバースデードネーションが大きく広がりました。

World Vision(ワールドビジョン)

World Visionではバースデードネーションを継続的に実施しています。Webサイト内のBirthday celebrations(https://donate.worldvision.org/give/birthday-celebrations)では、子どもの教育、具体的には、点字や手話のトレーニングとその家族につながる寄付を集めています。寄付した金額に応じてどんな支援になるかもしっかりと明記されています。

海外プラットフォーム

次に海外プラットフォームの中で、バースデードネーションを継続的に実施する海外の寄付クラウドファンディングサイトを3つご紹介します。1つ目は、GoFundMe(アメリカ)です。GoFundMe(ゴーファンドミー)は、世界的に有名なクラウドファンディングを中心とした寄付型プラットフォームです。非営利団体の支援や学校への寄付だけでなく、個人旅行などにも個人向けにも展開しています。特筆すべきは、GoFundMe Giving Guarantee(https://www.gofundme.com/c/safety/gofundme-guarantee)という寄付者保証を取り扱っていることです。寄付後1年間のあいだに、万が一、詐欺や不正に巻き込まれた場合、支援者に全額返金される仕組みです。

さて、バースデードネーションにおいて、とても分かりやすい記事がありましたのでご紹介します。バースデードネーションを成功させるための方法を8つのステップ(https://www.gofundme.com/c/blog/birthday-fundraiser)で説明しています。バースデーファンドレイジングの成功ポイントの1つに締切日を誕生日もしくは誕生日の翌日に設定すると挙げられています。読了目安6分といったユーザビリティの高さもキラリと光ります。

2つ目のプラットフォームは、whydonate(オランダ)です。whydonate(ホワイドネーション)はアムステルダムに本拠地を構え、EUヨーロッパ全域に広く浸透した非営利団体向け寄付型クラウドファンディングサイトです。なんと驚きの0% platform fee (プラットフォーム費用0%)です。WWFやUNHCERの活用実績もあります。

バースデードネーションにおいては、バースデーファンドレイジングキャンペーンのやり方(https://whydonate.nl/en/blog/birthday-fundraiser-birthday-fundraising/)という記事で特別に説明しています。特に、誕生日の招待状に寄付につながるQRコードを追加するアドバイスが秀逸です。

3つ目は、mycause(オーストラリア)です。寄付型プラットフォームは欧米だけでなく、オセアニア太平洋にも広がっています。私の体験談をお話すると、オーストラリアやニュージーランド、フィジーや南太平洋諸島などを何度も訪問していて、日常の中で、寄付(ドネーション)を頻繁に見かけます。先日、トンガ王国で、親が子にお金を渡して寄付をする姿を目にして、私もさっそく2歳児の娘にお金を渡して寄付してもらうように真似しています。娘が喋る英語の1つに「Donation」が増えたことに驚きました。

さて、mycause(マイコーズ)のバースデードネーション(https://www.mycause.com.au/pledge-your-birthday)についてです。非常にシンプルです。まず、誕生日を登録する。次に、オーストラリア国内のチャリティ(事前活動)を選択する。最後に、キャンペーンページを作成して開始する。という単純な仕組みです。サイトデザインが可愛らしいアットホームなWebサイトです。

バースデードネーション日本事情3選

最後に、日本国内でバースデードネーションを展開しているプラットフォームを3つご紹介します。まずは、Facebookです。フェイスブックジャパン(現Meta日本法人)が、寄付機能に制限されたサービスを2019年6月、「非営利団体のための募金キャンペーン」を可能としました。これがきっかけで日本国内でもバースデードネーションが広がりました。

次に、Syncable(シンカブル)をご紹介します。シンカブル(https://help.syncable.biz/hc/ja)は日本国内の寄付・クラウドファンディングサイトの一つです。バースデードネーションを継続的に受け付けており、1万円前後の寄付集めから300万円前後のファンドレイジングまで多様なキャンペーンが立ち上がっています。特に、認定NPO法人引退馬協会のバースデードネーション(https://syncable.biz/campaign/1589)は、各メディアにも取り上げられるほどの盛り上がりを見せた好例です。

3つ目の日本国内のバースデードネーションプラットフォームは、HP名称そのまま、誕生日寄付(https://www.birthday-donation.jp)です。「子どもたちの今を支え、未来に投資する」をコンセプトに、子供とその家族の支援につながるバースデードネーションを継続的に実施しています。地域企業と共に取り組む誕生日寄付といった先進的な取り組みにも積極的です。さらに、面白いのが、かっこいい大人コラムです。賛同人の方々を中心に寄付にまつわるコラムを寄稿されています。私は、宗次徳二さん(カレーハウスCoCo壱番屋 創業者)のコラムが胸に刺さりました。“寄付というのは今、困っている人に手をさしのべる『助け合い』だと思うのです”と言って寄付が趣味といえることに尊敬と心温まる親しみを感じました。読みごたえあるコラム(https://www.birthday-donation.jp/column/c0006/)なので、ぜひ皆さんもご一読してみてください。

まとめ

さて、皆さん、いかがでしたでしょうか。

第3回目の新人コンサルタントのFR学習帳は、バースデードネーションを紹介しました。誕生日寄付とはファンドレイジングであることが分かり、アメリカだけでなく、ヨーロッパ、オセアニアにも広がる寄付文化の一つだと知ることができましたね。もちろん、日本でも誕生日寄付は広がっています。

さて、次回、第4回目は「My寄付ルール1.0」です。2023年の始まりとともに、個人的な寄付ルールを作りましたので、それを公開したいと思います。ぜひ皆さんのMy寄付ルールをお聞かせいただけるきっかけとなれば嬉しい限りです。お楽しみに。


新人コンサルタントのFR学習帳

▷ #12 さようなら新人ファンドレイジングコンサルタント
▷ #11 ファンドレイジングコンサルタント1年目が読んだ8冊の必読書
▷ #10 ファンドレイジングでよく聞く横文字7選
▷ #9 ファンドレイジングに役立つ!事業戦略・マーケティング戦略7選
▷ #8 ファンドレイジングに役立つ!経営戦略フレームワーク12選
▷ #7 Chat GPTにファンドレイジングについて3つ質問してみた
▷ #6 わたしのクラウドファンディング体験記
▷ #5 ぜんぶ観ました!FRJ2023ファンドレイジング日本
▷ #4 My寄付ルール1.0
▷ #3 バースデードネーションとは?
▷ #2 私の寄付先を公開します。
▷ #1 500円から始められる毎月寄付10選
▷ #0 私は、新人コンサルタントの曽根拓也です。

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