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P-09 ツールの改善作業と継続的な見直しの計画をたてる:広報的ファンドレイジングを強くする12のポイント

コミュニケーションに関連する業務は、「相手」との間に発生するため、「これで完璧」という状態になりにくい性質があります。一旦は完璧に近い状態にできても、すぐに新たな改善点が出てくるものですよね。

ファンドレイジング担当者が関わる業務は幅広く、そのうえ未完の状態を継続せざるを得ない業務が大半となると、「何も終わっていない、何もできていない」という感覚に陥り、焦ってしまう方も多いようです。

今回は、作業の計画と優先順位を考えましょうというお話です。わかっていても計画のための時間をとるのは難しいものですが、終わりのない仕事が山積みになっている時こそ、計画の時間を優先して取るようにしてください。

改善作業の計画

ここでは、前回の記事で考えた ツールのゴールと道筋をもとに、コミュニケーションツールの改善にフォーカスして話を進めたいと思います。

1.やるべきことを洗い出す

まずは各ツールに必要な情報と導線を、改善ポイントを明確にしていきます。

2.タスクの優先順位を決める

次に、改善点をタスクに落とし込んで優先順位を決めます。事例では、作業担当(内部でできる作業か外部に依頼する作業か)と作業量でランク付けをして優先順位を入れてみました。タスクに依存関係がある場合は、その点にも注意しましょう。

タスクの依存関係について

下記のように、あるタスクの進捗が、他のタスクの進捗に依存する場合があります。優先順位を決める際は、タスク間の依存関係に注意してください。

  • Finish to Start:依存タスクが終了するまで、開始できない
  • Start to Start:依存タスクが開始するまで、開始できない
  • Finish to Finish:依存タスクが終了するまで、終了できない
  • Start to Finish:依存タスクが開始するまで、終了できない

3.スケジュールを引く

タスクの優先順位が決まったら、具体的に必要な日数を考慮してスケジュールに落とし込みます。全体で1年以上かかるような規模な場合は除いて、基本的にはスケジュールは1日単位で引くことをおすすめします。

1週間単位、半月・ひと月単位のスケジュールでは進捗管理がゆるくなり、予定から遅れていることに気づけないことがあるためです。

スケジュールの作成には、ガントチャートツールを使うのもおすすめです。

ガントチャートツールの紹介

オンラインで簡単にガントチャート(スケジュール表)を作成できるツールが様々あります。その一部をご紹介します。

名称URL料金*
Brabiohttps://brabio.jp/¥39,600
Instagantthttps://app.instagantt.com/¥66,000
Mondayhttps://monday.com/lang/ja/¥108,000
Gantterhttps://www.gantter.com/¥108,000
Asanahttps://asana.com/¥144,000
Teamgantthttps://www.teamgantt.com/¥151,140
Lychee Redminehttps://lychee.techmatrix.jp/無料

*10名で1年間利用する場合の料金(2022年3月現在)
*2022.04.28追記:Techsoup登録団体は、Asanaを50%Offで使えるそうです。コメントありがとうございました。詳細はこちら:https://www.techsoupjapan.org/donor-program/asana

継続的な見直しの段取り

PDCAの「P」「D」には力を入れるものの、「C」「A」はあと回しということは、よく起こることですよね。見直す時間がとれない、忘れてしまう、ということであれば、「P」のタイミングで「C」「A」の予定も立ててしまいましょう。

1.見直しのタイミングを決める

スケジュールを見渡して、改善したツールの成果を確認し、見直しを行うタイミングを決めます。

例えば、ホームページの改善ならリリース後3~6ヶ月はデータを蓄積する必要がありますし、リーフレットの改善であれば郵送や配布をした後、効果を測る期間が必要になります。

2.見直しの指標を決める

見直しのとき、どのポイントで良し悪しを判断するか、その指標を決めておきましょう。

例えば、QRコードを追加した領収書については、そのQRコードから何件ランディングページに誘導できたかという「アクセス数」を、また寄付者の声を追加したランディングページについては、ランディングページから寄付完了した人の割合である「コンバージョン率」を見ることになると思います。

3.改善計画と、次の見直し計画を立てる

成果を確認し、新たな改善点が出てきた場合は、各ツールの改善点の整理に戻り、またタスクの洗い出し、優先順位の決定、スケジュールの作成を行います。

このとき、次の見直しのタイミングもスケジュールに入れ込み、継続的にPDCAを回していきましょう。

Point-09 のまとめ

スケジュールを引く前に、タスクの依存関係も考慮した優先順位の確認する。
PDCAでは、前半のPDに力が偏りがち。CAもP(計画)の段階で段取りを組んでおくことで継続的にPDCAを回していく。


広報的ファンドレイジングを強くする12のポイント

P- 00 ひとつずつ始める
P- 01 自団体の強みと課題を知る
P- 02 ファンドレイジングの注力点を決める
P- 03 他団体の事例を知る
P- 04 コミュニケーションの相手を知る
P- 05 キーメッセージを考える
P- 06 ドナージャーニーマップを考える①
P- 07 ドナージャーニーマップを考える②
P- 08 ツールのゴールと導線を整理する
P- 09 ツールの改善作業と継続的な見直しの計画をたてる
P- 10 社会的インパクト評価の視点を取り入れる
P- 11 プロセスの可視化と広報
P- 12 モニタリング結果の可視化と広報

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