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IMPACT LAB

インパクトラボ

これからの寄付について考えるー1. 宮本聡さんに聞くクラウドファンディング

新型コロナの感染拡大は、寄付者やソーシャルセクターにも様々な形で影響を及ぼしました。

今、寄付者とのコミュニケーションの最前線にいる人たちは、どんなことを考えているのか。ゲストをお迎えして、お話を伺ってみたいと思います。

第1回目は、本業が不動産業でありながら、複数の非営利組織の理事であり、企業や個人のフィランソロピーアドバイザーでもある宮本聡さんに、これからのクラウドファンディングについてお話を伺いました。


宮本聡さんのご紹介

一般社団法人日本クラウドファンディング協会 個人会員

英JustGivingが運営する世界最大級の寄付サイト「JustGiving」の日本版として2010年にスタートした「JapanGiving (JustGiving Japanから名称変更)」の運営2014〜2017年に関わり、NPOのファンドレイジングコンサルタントとして活躍。

現在は不動産会社に所属し海外不動産の販売と社会貢献活動を担当する一方、複数のNPOで理事や事務局などを兼務する他、中小企業やNPO/NGOの経営・営業支援を行う。

コロナ以降の仕事の状況について

宮本さんは色々な肩書をお持ちですが、特に自粛期間以降、それぞれのお仕事の状況に変化はありましたか。

まず本業の不動産関係の仕事は、出社の回数が減りました。毎週のように実施していたセミナーも、人が集まらないので一旦やめようかということになって。オンラインセミナーへの切り替えも検討しましたが、オンラインなら1対1でいいかということで、結局集合セミナーは今はやっていません。なので、本業の稼働時間は減りましたね。

一方で、ソーシャルセクターの方からのご相談は増えました。
緊急対応的に始めたクラウドファンディングに関すること、融資も含めた広義のファンドレイジングに関すること、あとは、社会の前提が変わってしまった中で今後事業をどうしていったら良いかという根本的なご相談も増えています。

これからの寄付について

宮本さんはクラウドファンディングに長く関わってこられました。
先程、コロナで社会の前提が変わってしまったというお話もありましたが、withコロナと言われる時代のファンドレイジング、特にクラウドファンディングについてどのように見ておられますか。

まず、財源全体を見たときに、事業収入の割合が大きかった団体、特に、例えば子どものキャンプ体験のような受益者負担型の事業に軸をおいてきた団体は、難しくなっていると感じています。
今、事業自体をどうしていこうかというご相談をいただくのはこういう団体で。クラウドファンディング等で一時的に支えてもらっても、長期的には事業を再設計する必要も出てくると思っています。

寄付収入の割合が大きかった団体については、今のところ寄付が劇的に減ったという話は聞こえてこないですね。

クラウドファンディングについて言えば、一時期、ニュースでも何でもコロナ関連の情報しか見てもらえないというタイミングがたしかにあって、その時はクラウドファンディングもコロナ関連プロジェクトでないとページビュー(PV)が伸びなかった。今は、そういう傾向も落ち着いてきて、色々な情報が、また見られるようになっています。

コロナ関連以外にも寄付者の関心が戻ってきているんですね。

直接的なコロナ関連支援がわかりやすいのは間違いないですが、団体によって活動内容は違いますからね。

ちょっと話がずれるかもしれませんが、新型コロナが新たな問題を作り出したわけではないと思うんですよ。コロナ以前から存在していた分断を浮き彫りしただけ、というか。問題とか課題はもとからあった。
だから、コロナの影響で更に分断が深まったり、問題が深刻化していることがあるなら、そこのところを説明するのは大事です。

また、コロナ騒ぎで忘れられたり後回しにされてしまったことを、もう一度持ち出すという形も有効だと思います。

いずれにしても、浮き彫りになった分断や、一時的に後回しにしてしまった課題をもう一度しっかり整理して、どう解決していくのかを提示することが重要です。さらに言えば、解決の手段をどう社会構造の変化につなげるか、そこが事業とファンドレイジングを考えるポイントになるでしょうね。

クラウドファンディングのプラットフォーム自体にも変化は起きているんでしょうか。

そうですね、まずボリュームは大きく変わりました。少し前、2011年とか2012年あたりの頃は、クラウドファンディングで10万円集めるというのは結構大変でした。100万円集まったら、大型プロジェクトでした。

それが、2017年くらいから1,000万円以上集まったら大型プロジェクトと言われるくらいに、集まる額の平均が上がってきた。今大型と呼ばれるのは、5,000万~1億円以上のプロジェクトです。

あとは、プラットフォームの力が本当に出てきたなという印象があります。生み出す価値があがってきたというか。具体的には、いわゆる「ついで支援」とか「回遊支援」をする人が増えました。購入型だけでなく、寄附型でも増えています。新規支援者とつながれるきっかけとして、プラットフォームがしっかり機能してきたと思います。

クラウドファンディングという言葉の認知が拡がったことや、「寄附型」「購入型」の垣根があいまいになってきたことの影響でしょうね。いい事だと思います。

これからのソーシャルセクターについて

ちょっとざっくりした質問になりますが、ソーシャルセクターに期待されることも変わってくるのかなと思うのですが、宮本さんはどのように考えておられますか。

必要とされる支援の地域性や個別性が、さらに高くなっていくだろうと思っています。地域や支援対象者に寄り添ってきめ細やかな支援を届けられる小回りのきく団体が、今以上に求められるようになるのかなと。

小回りのきく団体というのは、規模が小さく、ファンドレイジングやバックオフィスの機能を整えるのも難しい、という場合が結構ありますよね。だから、中間支援的な組織の役割も重要になってくると思います。
全国の子ども食堂と、むすびえ(全国こども食堂支援センター・むすびえ)さんみたいな関係性。

そういう役割分担が進むのかなと思っています。しっかりニーズに寄り添える団体、それらの団体をサポートできる中間支援的な団体、あと社会制度を変えていくような団体ですね。階層とか、上下とかじゃなくて、役割分担

役割分担が進む過程で、M&Aが進むのも面白いだろうなと思います。営利事業者と非営利事業者の境目もファジーになっていくので、営利企業がやっていることをNPOが買い取ったり、NPOの事業を営利企業が引き受けたりね。

ファンドレイザーのような、寄付者と対面する立場にある人の役割はどうでしょうか。

ここ何年かで、団体寄りと言えばいいかな、団体のことを寄付者に説明したり、団体のために寄付を集めたり。そういうファンドレイザーは確実に増えて、それはとても良かったと思っています。

ここからは、寄付者寄りのファンドレイザー。寄付者の想いや希望をくみとって、最適な寄付につなげられるファンドレイザー、フィランソロピーアドバイザーとも言いますね。そういう人も、増えて欲しいと思います。

そのためには、ファンドレイザーの方には是非、お金のリテラシーを上げることを考えてもらいたいと思います。寄付者にとって、その金額がどんな意味を持つのか、どう使ってもらうことが寄付者の想いに照らして最適なのか、それ考えるためには、寄付のリテラシーとあわせて高いお金のリテラシーが欠かせません。

遺贈寄付を考えてもらうとわかりやすいと思います。ファンドレイザーには、会計、財務、ファイナンスに関する一般以上の知識、さらに組織マネジメントや人材マネジメントといった、幅広い知識が求められるようになると思います。

今、力をいれていることについて

ありがとうございます。最後に、今宮本さんが特に注目していたり、力を入れていることを教えて下さい。宮本さんに相談できること、とかも聞きたいです。

力を入れているのは、今お話したフィランソロピーアドバイスですね。お金のリテラシーを上げるためのセミナー等の活動や、マネープランニング、ライフプラインニングのアドバイスもしています。

相談も、お金とかフィランソロピーとかファンドレイジングに関する事ならだいたいお答えできると思います。

あと、誰に相談していいかわからない悩みって、結構ありますよね。そういうご相談の場合、全部解決することはできませんが『次の一歩はどこを踏めばいいか』のアドバイスはできますよ。

宮本さん、ありがとうございました。


宮本さんには、7/15(水)のセミナーでも、ゲスト講師としてクラウドファンディングについて教えていただきます。

クラウドファンディングやってみようかな、という超初心者の方や、寄付じゃなくて購入型でプロジェクトを考えたいという方も大歓迎。誰に聞けばいいかわからないちょっとした疑問にも、答えてもらえるチャンスです。是非お申込みください。

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