コミュニケーション
P-02 ファンドレイジングの注力点を決める:広報的ファンドレイジングを強くする12のポイント
自団体の強みと課題が整理できたら、次はファンドレイジングの注力点を決めていきます。ファンドレイジングは、助成金/補助金や事業収入を含めて考えることも多いですが、ここでは広報的ファンドレイジングが直接影響しやすい「寄付・会費」に限定して考えます。
ファンドレイジングの注力点=どの寄付メニューの寄付者を増やしていくかを考えるには、寄付者の数と団体へのロイヤリティを階層に分けて整理するドナーピラミッドを作ってみるのがおすすめです。
寄付者を増やしたい寄付メニューが、入り口として参加しやすい寄付メニューとは限りません。入り口として新規寄付者の獲得に注力する寄付メニューと、最終的に寄付者数を増やしたい寄付メニューは違うことがあるという前提で「どの階層から入って、どの階層に上がってもらうか」を考えます。階層を上がってもらうための計画や施策は、ステップアップ戦略やMoves Managementとも呼ばれ、ファンドレイジング戦略を考えるうえでとても重要なポイントになります。
ドナーピラミッドとステップアップ戦略
団体によって、ドナーピラミッドの構成もステップアップ戦略も様々ですが、いくつかのパターンをご紹介します。
継続寄付を軸にするパターン
マンスリーサポーター等の継続寄付は、団体としては財源の安定化が図れ、寄付者としてはクレジットカードや銀行引き落としを使って手間をかけずに団体の活動を長期的に応援できる寄付メニューとして人気です。マンスリーサポーターの獲得に力を入れている団体は多いですが、同じマンスリーサポーター軸でもステップアップ戦略は様々なタイプが考えられます。
活動説明会等の寄付以外の参加を入り口に、マンスリーサポーターへのステップアップを促す。
気軽に参加できるクラウドファンディングを入り口に、マンスリーサポーターへのステップアップを促す。
マンスリーサポーターを入り口に、継続してもらうためのコミュニケーションに注力する。
マンスリーサポーターを入り口に、遺贈寄付へのステップアップを促す。
都度寄付を軸にするパターン
一方で、都度寄付やそのリピートを軸にしている団体もあります。今日は国際女性デーですが、このような国際的記念日や一般的なイベントに合わせてキャンペーンを設計するのも、リピート率アップに有効です。
寄付キャンペーンとして毎年同じ時期にクラウドファンディングを行う団体や、リピート寄付者に対してさらに継続寄付や大口寄付へのステップアップを促している団体もあります。
大口寄付を軸にするパターン
チャリティパーティーや、アルムナイ(OB・OGのコミュニティ)を入り口に、大口寄付を募るというパターンもあります。
チャリティパーティーでのオークションやアルムナイでの人間関係等、仕掛けや空気づくりが重要になります。
ドナーピラミッドの設計は、これから寄付者になる人たちにどんな関わり方をしてほしいか、どんな形で繋がりを強めていきたいかを可視化する作業です。前回行ったSWOT分析の結果も見ながら、自団体の強みを活かし、満足感を持って寄付を続けてもらうための最適な階層とステップアップ戦略を考えてみてください。
Point-02のまとめ
ファンドレイジングは、寄付者になってもらってからも続く。
新規寄付者にとって参加しやすい入り口と、最終的に寄付者数を増やしたい寄付メニューをつなぐステップアップ戦略を考える。
広報的ファンドレイジングを強くする12のポイント
P- 00 ひとつずつ始める
P- 01 自団体の強みと課題を知る
P- 02 ファンドレイジングの注力点を決める
P- 03 他団体の事例を知る
P- 04 コミュニケーションの相手を知る
P- 05 キーメッセージを考える
P- 06 ドナージャーニーマップを考える①
P- 07 ドナージャーニーマップを考える②
P- 08 ツールのゴールと導線を整理する
P- 09 ツールの改善作業と継続的な見直しの計画をたてる
P- 10 社会的インパクト評価の視点を取り入れる
P- 11 プロセスの可視化と広報
P- 12 モニタリング結果の可視化と広報