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P-12 モニタリング結果の可視化と広報:広報的ファンドレイジングを強くする12のポイント

連載を続けてきた「広報的ファンドレイジングを強くする12のポイント」も、いよいよ最終回。前回に引き続き、広報×社会的インパクト評価のお話です。

社会的インパクト評価のプロセスの中で特に広報に活用しやすい2つの段階のうち、前回は「3. インパクトへのプロセスを整理する」についてご紹介しました。今回は、「5. 事業改善につなげる・報告する」について、具体的な考え方と事例をご紹介していきます。

できたことと、できていないことを可視化する

報告というと、「成果を報告する」と捉える方も多いと思います。しかし、インパクトへのプロセスを整理し説明できていれば、「できたこと」だけでなく「まだ十分にできていないこと」こそ、報告する価値があると理解いただけると思います。

成果の中には、長い時間をかけないと見えてこない、現れてこないものもあります。最終的に目指している成果が見えるまでに、どんな時間軸でどんなプロセスが想定されているのか。どこまでができていて、これから何をやらないといけないのか。目的地と現在地を丁寧に説明することは、目的地に到達するまでに時間がかかることを理解し、その期間、辛抱強く支援を続けてれる仲間を作り出すコミュニケーションとなります。

モニタリング結果の可視化×広報の事例

数字を揃えて見せる

バン65という数字に対して、2,900万以上という配った食事の数の大きさが直感的に伝わります。

(Ozhervest , “Impact Report 2020”,
https://www.ozharvest.org/app/uploads/2021/01/OZH_ImpactReport-2020.pdf)

数字とイラストをセットにする

数字とイラストを組み合わせると、どんな活動をしているのか、どんな成果を大事にしているのかひと目でわかりやすくなります。

(国境なき医師団日本, “活動報告書2020”,
https://my.ebook5.net/MSFJ_Publication/AR2020/)

時系列で比較する

何年分かを比較して見せれば、成長や進捗がわかりやすい。

(National Centre for Student Equity in Higher Education, “Infographics”,
https://www.ncsehe.edu.au/wp-content/uploads/2021/12/Infographic-NCSEHE-Staff-Outputs-2019-21.pdf)

ゴールの達成度を並べて見せる

たくさんゴールがあるなら、並べてグラフにしてみるのもいいですね。

(Adam Smith International, “Annual Impact Report 2020”,
https://issuu.com/adamsmithinternational/docs/bcorp_impact_report__4__final_for_publication_1510)

データとストーリーのバランスを大切に

数字だけを見せるのではなく、その数字の背景にあるストーリーを紹介しましょう。右脳と左脳を刺激する、感性と論理をバランス良く紹介することが大切です。

(MCDONOGH SCHOOL, “Yearly report 2019-2020”,
https://yearly.report/from/#/mcdonogh/philanthropy-report-2019-2020)

みんなの目線を、もう一度インパクトに向ける

できたことだけでなく「まだ十分じゃない」ことをしっかり説明することで、少し遠くの「インパクト」に、もう一度みんなの目線を向けることができます。

(AMNESTY International, “Impact Report 2018/2019”,
https://www.amnesty.org/en/latest/research/2019/11/the-not-enough-impact-report-201819/)

Point-12のまとめ

マーケティング×インパクト評価で大事なのは、インパクトが生まれるまでのプロセスと時間軸を共有してもらうこと。
イラストやグラフやストーリーをセットにして見せることで、より直感的に伝わる。

全13回の連載にお付き合いいただきありがとうございました!来月からは新しいシリーズを考えています。どうぞお楽しみに。


広報的ファンドレイジングを強くする12のポイント

P- 00 ひとつずつ始める
P- 01 自団体の強みと課題を知る
P- 02 ファンドレイジングの注力点を決める
P- 03 他団体の事例を知る
P- 04 コミュニケーションの相手を知る
P- 05 キーメッセージを考える
P- 06 ドナージャーニーマップを考える①
P- 07 ドナージャーニーマップを考える②
P- 08 ツールのゴールと導線を整理する
P- 09 ツールの改善作業と継続的な見直しの計画をたてる
P- 10 社会的インパクト評価の視点を取り入れる
P- 11 プロセスの可視化と広報
P- 12 モニタリング結果の可視化と広報

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