ICT / テクノロジー
オンラインでの支援者集会等に役立つアイデア&ツール9選
緊急事態宣言が全面解除となって、新しい日常に戸惑いながらも、少しずつ経済や社会活動を再開していくタイミングだと思われます。しかしながら、まだまだリモートワークの方も多く、事業所へ勤務していても、暫くはできる限り外出は控えて、対面での折衝でなく、オンラインでの名刺交換や打ち合わせが今後もある程度の期間、続くのではないかと思われる。
こうした中で、大規模イベントは中止となっていたが、再開しても感染拡大防止対策が大変なことと、いつまた第2波、第3波がやってくるかわからないことから、リアルに集まるイベントを避けて、最初からオンラインでのイベント開催に踏み切っているところも多くなってきた。
大規模でなくても、前回の記事で呼びかけたように、身近なスタッフ・ボランティアやずっと応援していただいている支援者に対してちょっと声掛けするところからオンラインでの活動を続けている団体も多いのではないか。
そこで今回は、ファンドレックスのオンラインセミナーの中でも紹介して、もっと教えてほしいとご要望いただいた、オンラインでの集会に役立つアイデアやツールなどを紹介していきたい。
その1:オンライン対談がとても楽しみ!!
オンライン会議や集会を開くために、ZoomやMeet、Teams、Skype、Facetimeといったオンライン会議ツールもかなり馴染んでこられたかと思われる。
最近話題になったもののひとつにサントリーの「話そう。」シリーズがあった。タレントやアスリートが同じようにステイホームしていながら、自然体の中で出演者が別々の場所にいながらビデオ通話で会話する。戸惑いや繋がることの喜びも含めて、視ていて明るい気持ちになれるシリーズ。順次、新作も公開されている。
以前からテレビ番組「ダウンタウンなう」「酒場放浪記」など、タレントが飲み歩いて酒場での会話を楽しみながら、見ている人も自宅で飲みながら一緒に参加している気分になるものがあったが、これも同様に、自分自身のおかれている状況と同じ状況であるタレントたちがまるで自分に語り掛けて、自分もオンライン対談に参加している一人であるような錯覚になる楽しさがあった。
会議に参加して直接会話するのとは違って、例えば組織の代表者と支援者の一人とがオンライン対談して、それを周囲の方が見守るように囲んで視聴するというのも、企画として楽しい。特にその場で参加者の一人というよりは、自分の目の前に対談者だけがいるような錯覚に陥り、まるで自分だけに語り掛けているような気持になれる。
その2:あえてオンライン会議ツールを使わない
実は筆者もオンライン会議の開催回数が増大して、多い日になると6-7本オンライン会議が続くことさえある。ビジネスライクな毎日で、限られたスペースの自宅では変化がないので、例えばオンラインセミナーを行う時には、照明を変えたり、立ったままでの位置で話したりしている。同様にオンライン飲み会でも部屋でのカメラの位置を変えたりして、気分新たになるようにしているが、オンライン会議ツールそのものを変えてしまうというのもひとつの方法だ。例えば「宅飲」というツールは、本来はオンライン飲み会用のツールであったが、直感でわかるよう操作が簡単に設定されているので、同好会的な繋がりでも充分にミーティングツールとして活用されている。あえて、いつも使うようなオンライン会議ツールではなく、違うツールを使ってみるというのも、気分を変えて参加できるのでいいだろう。
宣言解除に伴い、飲食店が営業再開していくなかで「お店プラン」などもできてきている。
オンライン飲み会サービス「たくのむ」
その3:同じ瞬間を共有する
飲食店などが休業要請に対応しながら、例えば今までは夜の時間帯だけだったのが、お昼時も対応したり、テイクアウトを始めたり、出前・デリバリー・出張サービスと多様な展開ができてきた。感染拡大防止に協力しつつ、様々なインフラ基盤を支えていただいてる多くの皆さんには改めて感謝申し上げたい。
例えば、オンライン食事会をするにしても参加者がそれぞれ自前で食事や飲み物を用意するのもよいが、あえて、今日は同じテーブルスナックにしようとか、テーマはカレーでそれぞれ自慢し合おうとか、同じ銘柄で飲み物を揃えようとかすると、独りでいてもみんなと繋がっている感じがとても高まる。そして一緒に食べたり飲んだりするだけで、体験を共有することもできる。デリバリーもこれからはいわば「双方向デリバリー」のような同時に同じものをお届けするサービスも広がるかもしれない。
これは例えば、スポーツイベントなどが再開する中で無観客試合となって中継だけされる場合に、それを視聴しながらの楽しみにも採用できるのではないかと思っている。同じ時間を共有して、感動体験を共有すると、同じ価値観が生まれやすくなっていく。このことを活用して、例えばオンラインでの支援者ミーティングなどをする際に、申し込みサイトで参加費を収めてもらうと、登録住所に一緒に着たり、食べたり、飲んだりするものが届き、例えば、応援Tシャツを着て、フェアトレード商品の飲み物で茶話会をするなども自宅に居ながらでもイベントへの参加感や仲間との一体感が高まる。
その4:壁紙やテンプレートを同じものにしてもらう
オンライン会議ツールのZoomやTeamでは、背景を着せ替えできる機能がある。先ほど紹介した「たくのむ」でもPCからの接続では同様の機能を持っている。
SNSなどでの個人アカウントの写真を「ステイホーム」などをいれることも流行っているし、zoomの背景を観光地やオフィスなどの画像や動画だけでなく、名刺デザイン風にしてオンラインならではの紹介に活用している方もいる。先ほどの双方向デリバリーでも紹介したように、同じものを着たり、体験したりする共通の時間を持つと相互に共感が広がりやすくなると同時に、パソコンなどの画面でみんなに顔がタイルのように並んでいること自体が「ばえる(映える)」ので、露出についての許可は必要だが、情報の拡散などにも繋がりやすくなる。
そこで、参加申し込みを行ったら自動メール配信機能でオンライン参加するときに使う背景画像などを届けるということも考えられる。ちなみにグーグルのMeetにはバーチャル背景をいれる機能がないが、PCのカメラ側でそうしたものを合成するSnap Cameraというアプリがある。
ハングアウトや Meet でバーチャル背景を使用できる『Snap Camera』
ビデオ通話「ハングアウト」「Meet」でバーチャル背景を使用する方法
その5:共有ドライブとオンライン会議ツールを組み合わせる
オンライン会議などに参加していて、すっかりと変わってきたなぁと感じるのは、これまでだと予約した会議室へ何時に入って、参加者数の印刷物を用意、配布した手元資料を見ながら、スライドで説明を加えるというのが多かったのが、オンライン会議が当たり前となって、ペーパーレス化が進むと同時に、情報の「伝達(配布)」から「共有(シェア)」に流れが変わってきた。
例えば、これまでは司会進行役が会議参加者に予め打診して、検討する議案をアジェンダとしてまとめ、会議中は記録係をおいて議事録を作成して、終わってから配布するといったものだったが、オンライン会議では、開く前に入力フォームや共有ドライブなどを使って、みんなで情報を書き込めるところを用意しておいて、事前に話し合うテーマや情報など書き込み、事前に目を通しておいてもらい、当日も会議を進めながら、みんなで書き込みを重ねていき、それをシェアするようになりつつある。
これを活用して、オンラインセミナーなどでも、スライドを事前共有しておき、あえて画面共有の機能を使わずに、ライブ感を重視して進める場合もある。そして、共有しながら書き込みできるところに感想や質問事項などを記入して進めるというのも楽しい。ちなみに、オンライン会議ツールによっては「ニコニコ動画」のように、その場でのつぶやきなどを字幕のようにストリームのように流していく機能を持っているところもある。
その6:共通のサインを画面の中で行う
Zoomなどでも画面共有の機能があるが、やはり顔を見ながら言語以外の非言語コミュニケーション、身振り手振りや表情やうなずきなどで反応を確認しながら進めるようになってきた。参加者のほうも、自分の映り方をこんなに気にすることはなかっただろうし、手を振ってみせたり、大きくうなずいたりとこれまでの日本人のメンタリティにはなかったようなオーバーアクションもだんだんと多くなってきているように感じる。
とてもアナログな表現なのだが、X JapanのXポーズのように、何かオンラインでの個人画面で表現できるサインをみんなでやるというのも、独りじゃないことを実感できる。またzoomでは参加者をタイル表示にすると、隣りあわせはみているPCによって異なる並びになっているようだが、ある一人の人から指示をしてもらって、PC画面いっぱいに広がるメンバーで協力して、手と手を携えて、ハート形をつくるといったアイスブレイクなども楽しい。
世界初!? 中原ゼミ「オンライン合宿」でチームビルディングをやってみた!? : ZOOMで新人の組織社会化は可能なのか?
その7:さらにオンラインならではのツールを使って発想力を磨く
いわゆるブレーンストーミングを進めるためには、付箋などにアイデアをたくさん書きだして、それをクループ化したり、ラベルをつけたり、全体を整理してアイデアをさらに発想を重ねていくが、オンラインでその場を居るかのように使えるツールもある。Miro(ミロ)は付箋やマインドマップなどをデジタルで可視化、再現できるツール。無料で3つのボードが作れ、何人でも参加者を無制限で招待できる。
クリエイティブ思考協会「オンライン発想ワークショップ」
【保存版】「現場で使える」オンライン・ブレインストーミング 完全公開!
その8:オンラインでの運動会!!!
「リモートで開催される運動会」というフレーズに引かれて読んでみたのだが、これが楽しい。これも前述のMiroを使っているのだが、一人一人が付箋になって、運動場の指定された位置に自分でたどり着く。音楽にあわせて付箋になった参加者が「入場行進」している姿は、たどたどしい動きが愛おしく、だからこそ参加感にあふれ、うまくいかないことや、予想もしていなかったトラブルそのものが楽しみになるのだと実感した。
その9:雑談を生むビデオツール「Remo」
イベントを開催した時の楽しみの一つに、その会場で偶然居合わせた人と名刺交換したり、隣通しで座ったというだけで、情報交換から、その後の関係性の構築に繋がることがある。オンラインになって今、間違いなく名刺の使用機会は減っているが、対面で会っているかのような「テーブル」に着席して隣の人と話しかけるカンファレンスができるツールが「Remo(レモ)」だ。
テーブルは自分で選んで移動することも可能。進行役が時間管理して、全員席替えなどするとみんな強制的に移動して、新しい出会いも生まれる。
オンラインでのミーティングなどであたかも、私に直接語り掛けてくるような繋がりは、その後、1対1のコミュニケーションの充実にも繋がる。これらの対面での機会があると、さらにファンドレイジングが進むことへ、あなたのアイデアとツール活用が活きてくる。
ちなみに私たちも大いに関わっているアジア最大級のファンドレイジング博覧会であった「ファンドレイジング・日本」も今年はオンラインでの開催となることが決まった。私たちも今までにない方々と出会えることを一層楽しみにしている。