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1億件以上の調査データを収集した「KoBoToolbox」のご紹介~最新のITツールと業務をつなげよう~

今回は、最近国際協力や人道支援のフィールドデータ収集で使われているツールである、「KoBoToolbox」をご紹介します。これは、アンケート入力画面のような調査フォームを簡単に作成することができ、データ入力側はスマホやタブレットでオフラインの環境でも使うことができるというツールです。

1億件以上の調査データを収集した「KoBoToolbox」

https://www.kobotoolbox.org/

ホームページによると、このソフトウェアは、2005年に公衆衛生と紛争の研究者のチームによって開発され、2013年からはハーバード人道イニシアチブとハーバード大学の教育病院を拠点としたチームによって管理されているとのことです。2019年にはKoBo.Incという非営利団体を設立し、最近のCOVID-19の調査も含めて、2020年には世界中の50万人以上のユーザーによって使用され、1億件以上の調査データを収集しているそうです。

「KoBoToolbox」でできること

KoBoToolboxは無料で使用することが可能です。Web上で調査を行うための情報収集フォームを作成し、そのフォームをスマホやタブレットに展開して、そこからデータを入力、そのデータがアップロードされるとWeb上の管理画面で状況を閲覧することができるというものです。スマホ・タブレット上の入力フォームはオフラインでも動作可能で、一定のデータの入力や編集を行った後、オンライン環境下でまとめてデータを更新する、という使い方が可能です。インターネット環境が不安定な途上国のフィールドや、災害時のデータ収集で迅速に使えるように開発されたツールなのです。

収集されたデータは、KoBoToolboxのクラウド上の管理画面で、グラフ表示やデータ一覧の閲覧も可能で、データをエクスポートすることももちろん可能です。

またオープンソースであり、GitHub上で常に最新コードが公開され世界中の有志のエンジニアによって支えられているという点も、最近のソフトウェアならではという開発体制になっています。上級者向け機能ですがDockerという機能を使うことも可能で、自分のサーバーやローカルPCへのインストールをすることができるとのことです。クラウドにデータを残したくない場合に、適した使い方が可能です。

管理画面での入力フォームの作成画面は、直観的でわかりやすいです。

<ホームページより>

国連系の団体でも、開発をサポートしているようです。

<ホームページより>

調査フォームのつくり方

まずはアカウントの登録が必要です。

アカウント登録を行った管理者は、KoBoToolboxサイトにログインして調査のための入力フォームを作ります。作ったフォームには、ソフトウェアでURLが割り振られますので、このURLをスマホやタブレットなどのアプリにリンクすれば、オフラインでもそのフォームにデータ登録・編集が可能になります。

そしてオンラインになった時に、データをまとめてアップロードするという仕組みになっています。Android端末用には、データ入力用のアプリも配布されており、アプリ上で端末内でのデータ更新やサーバーへのデータアップロードを管理することもできます。

業務への応用:色々なITツールを組み合わせて業務を組み立てる

本ツールを、業務で日常的に使用するという場面は多いものではないかもしれませんが、スマホやタブレットを上手く活用して業務を効率化するという発想は、柔軟に取り入れると良いと思います。

その場合に注意すべきことは、「どこから入力・更新したデータを正にするか」、という視点です。ユニークキーとなる項目は何で、誰が編集したデータが正となるのか、ということを考え、入力と更新、またそのデータを使うタイミグを洗い出す必要があります。例えばマスタとなるデータは全件Salesforceで管理・閲覧され、部門ごとのデータを入力・更新する仕組みをこのKoBoToolboxのような別のソフトウェアに持たせる、という場合は、「Salesforceのデータが正である」という取り決めが必要です。

そのようなルールがはっきりさえすれば、ひとつのシステムに全員がログインしてデータを更新していく必要はなく、無料、または安価に提供されているツールを活用して、入力箇所を分散し、業務を効率化することが可能です。

誰かがデータの全体像を捉え、入力と使用場面を俯瞰しておく必要はありますが、結果的に費用対効果の高いシステム運用が可能になるかもしれません。

新しいITツールは日進月歩で登場してきますので、業務の全体像を捉えながら、良いツールを効果的に利用していきたいものです。

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