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Public Service Motivation(PSM)とは

個人が組織の中でそれぞれのモチベーションを活かし、強みを活かしていけば、結果的に組織の成果を上がり、社会を良くしていくのではないか。それが、最近特に私が感じているテーマです。

究極的には、各個人がやりたいことだけやって、社会に対して高い成果を生み出すことはできないのか。極端な言い方であり、組織運営としては難しいことは承知しつつも、これを仮説の一つとして考えています。

通常の企業では、売上や利益を目標にし、成果管理されます。目標設定理論やモチベーション理論などの研究は、経済学分野ではたくさん存在しています。

ただ、ソーシャルセクターで働く人は、普通に売上・利益を上げて自分のお給料を稼ぐ考え方とは違い、経済的価値以上の価値を追及したいと思って働く場所を選んでいます。ここでは売上や利益は、各個人にとっての成果やモチベーションにはなりにくいものです。

また、日々の仕事は当然地道なものであり、組織の目的、あるいは個人の誘因である、「世界平和」や「貧困解決」に、毎日近づいていると肌身に感じるわけでもありません。目指すものが経済的価値だけではないからこそ、目的への達成度合いが見えにくく、進んでいる状態が実感できないことも多いです。そして大きな目的と毎日の業務の間にいる自分の、もやもやした気持ちを、ついつい身近に転嫁して、「資金が足りないから〇〇が上手くいかない」「組織ができていない」「人の相性が悪い」などと、違う原因にすり替えてしまう。または、「自分の努力不足」「自分の心持ちが弱い」と、自分を原因にして責めてしまうことも、見られるように思います。更に、「団体と個人の価値観が合わなくなった」「やり方が合わなかった」と、決めつけてしまうこともあるように見えます。

多くの仕事の中から、わざわざ難しい課題に挑戦し高い価値を実現しようというモチベーションで仕事を選んでいるにもかかわらず、日常で忙殺され、身近なマイナス要因と戦って疲れてしまうのは、非常に勿体ないことです。

アメリカには、「Public Service Motivation(PSM)」という理論があり、従業員の目標と組織の存在意義を効果的に取り組むための理論が研究されています。この研究において、PSM は、「コミュニティの人々,州,国,人類の利益に貢献したいという一般的な利他的動機」(Rainy and Steinbauer, 1999)、あるいは、「他者を助けたい,社会の役に立ちたい,有意義な公的サービスの提供に携わりたいという労働者の価値観もしくは選好(Wright and Pandey, 2008)」等と定義されています。難しい言い回しですが、公的サービスで働く人には利他的な傾向があるとし、既存のモチベーション理論より深掘りし、理論化を試みた研究です。

「Public Service」なので、公的サービスと訳せることから、日本では公務員の職務意欲としての研究事例がわずかに存在しているのみです。「公的サービス」ではありますが、「公共の利益」であると捉え、更にこれを「社会的利益」と考えれば、非営利セクターはここでいう「Public Service」に含まれると、考えられます。 PSM研究では、実証分析のための4つの指標が開発されています。①政策形成への関心、②公益への関与、③思いやり、④自己犠牲がその構成要素であり、更に24項目に細分化して、個人のPSMを測定し、PSMが高いと公的職務に「やりがい」を感じる傾向が高いと仮説設定され、研究されています。

(参考文献:水野和佳奈(2019)公的活動を職務とする労働者の肯定的な職務認識の要因分析、Homberg, Fabian, Costello, Joyce(2019)Public Service Motivation and Civic Engagement)

個人のモチベーションを活かし、パフォーマンスがもっともっと上がるよう、このPSM理論を研究しようと取り組み始めました。

きっと独自に工夫されている団体も多いでしょう。理論研究だけではなく、工夫されているアクションを集め、PSM研究と合わせて効果検証を行い、今後発信していきたいと思います。

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