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IMPACT LAB

インパクトラボ

オンライン状況下の今こそ、ファンドレイジングが必要!

この原稿を書いている5/1現在、5/6までの緊急事態宣言が、1カ月程度延長されるという報道がされている。こうした中で、最前線に立ち続けている医療・福祉従事者の皆様へ感謝を申し上げると共に、リスクの中でも頑張って日夜インフラを支え続ける方々に心より御礼申し上げます。

先日、ファンドレックスでは「オンラインセミナー」を開催した。
【Discover For Change】 *緊急対策*オンライン状況下でのファンドレイジングの進め方

初のステイホーム週間中での開催であったが、今までになく遠くから、幅広くご参加いただける機会となった。改めて、時間を調整してご参加いただいた皆様方に感謝申し上げます。

【Discover For Change】 はファンドレックスが提供する、少人数制、ピア・コンサルティング型のセミナーという設定であったが、今回は特別編としてオンラインでの多人数参加の形式で行い、オンライン状況下でどんな寄付集めのベストプラクティクスがあったか、を紹介して、自団体が取り組みする際の参考にするとともに、新しく生まれつつある生活様式や価値観について考える機会となった。

日本においては1月に初の感染者がでて、クルーズ船ダイアモンド・プリンセス号でクラスターが発生して、その対処からコロナ対策は始まっていった。筆者の周囲でも、1月末には大手企業から在宅勤務がかなり導入され、通勤客が減っていった。2月後半あたりからは営業している企業でも、直接来訪は拒絶されオンラインでの聞き取りでお願いしますと要請されるようになり、学校の休校要請を経て、その機会が増えていった。2月下旬の北海道での緊急事態宣言、3月下旬に東京オリパラが史上初めて開催延期されてから、東京都知事からの「平日は自宅勤務・不要不急の外出は控えて」という要請を受けて、当社でも全社員が在宅勤務となり1カ月以上が立っている。その後4月上旬に政府による非常事態宣言がなされたが、全国に拡大したのは4月中旬であり、地域によっては、4月下旬あたりから在宅勤務が本格化、飲食店が休業しだしたりと地域での時間差があるように感じる。

こうした中で、大型の寄付キャンペーンは、国際協力NGOなどから始まり、やがて国内の感染拡大防止を呼び掛ける取り組みへ支援が集まっていった。そして、今回特に印象的なのは、公的支援やソーシャルな取り組みだけでなく、学校休校によって給食の事業者を支援しようとか、休業要請で売上が減った飲食店を応援とか、経済的に立ち行かなる事業者を支える動きが顕著であることだ。リーマンショック以上で、経済解説者によっては世界恐慌以来の未曽有の事態を迎えつつあると表現され、特定の地域ではなく日本全体、そして世界の1/3がロックダウン状態にあるという中で「コロナ世界大戦」といった様相になり、公助・共助共に今までない取り組みが顕著になってきている。

こうした中で私たちの日常も一変した。世界中でマスクをすることは普通のこととなり、社会的距離(ソーシャルディスタンス)を保ち、お家で過ごしている(ステイホーム)。これまで人類が築き上げてきた資本主義としての「都市化・集中化・効率化」に対して、そこがリスクが高いことから、「分散化・宅労化・共有化」などが当たり前のように浸透してきている。在宅の機会が増え、飲食店の経営は立ち行かなくなっていく反面、宅配や通販お取り寄せなどは活況を呈している。

他方で、SNSなどのタイムラインでは誰かに対しての怒りが満ち溢れていることから、それを眺めていたくないという人もいて、またテレビなどを見ていても、ロケ中止から古い番組ばかりで、新しいニュースもコロナ関連ばかりとなって、これも見たくないことからSNSやニュースアプリをスマホから全部外してしまったという方もいらっしゃる。また家族が出かけられずに24時間ずっと一緒にいることから、誰もがピリピリとして、ストレスや不安を抱えている。

こうした中で私たちは何へ取り組むべきなのか

家に閉じこもって間もないころは、先行き不安なことから、自宅で居続ける事態に不慣れもあり、正直に言えば、ただただ危機が去るのを待つという心持になっていた時があった。地域によって最近から在宅勤務となった人にとってはまさに今、そういう心持となっているかもしれない。

また団体として集まる機会、それこそ総会などの時期を迎えて、これからどう活動していったらよいかわからない。会社などの企業活動もどうなるかわからない中で、多くの人々から支援をいままで通り受け取りすることができないのではないかと危惧される向きもある。

セミナー参加者のアンケートにおいても、自分たちの団体では緊急の取り組みをしているわけではないので、支援者に対してどうコミュニケーションをとったらよいだろうかという質問が複数あった。

緊急性の高い感染症対策などの取り組みに加えて、今では「コロナ不況の事業者を支えよう」「ミニシアターをなくすな」「芸術団体を支えよう」という取り組みも沢山の支援の輪が広がってきている。すこし緊急支援のフェーズから、事後に向けて見通しができた取り組みが出始めていっているように感じている。

しかし、先ほどのSNSやテレビをシャットダウンしている人にも通じるが、改めて文学や芸術の価値を知ったという人もある。コロナでの入院患者のコメントで、我が物顔で自説を主張するコメンテーターを見たくないからテレビを消し、孤立して生命の危機に対する不安にも駆られたが、病室で流したFMラジオの音楽や読書に支えられたというものもあった。またある方は今からコンサートに行くことを想像するとたぶん一曲目から泣いてしまうだろうと言い、それを考えるだけで今から泣いてしまうと語るが、彼はこの期間に没頭できた古今東西の文学作品や音楽家たちの著作が心の救いとなったとも言われていた。

こうした状況の中で今は、直接的な支援呼びかけではなく、誰しもが多かれ少なかれ不安やストレスを抱えている中で、ちょっと周囲に声掛けすることから始めていったらどうだろうかと思っている。
ある団体からの便りを拝見していると「緊急事態宣言が出てから、私たちも在宅勤務となりご不便をおかけすることになっているかもしれませんが、古着寄付の倉庫のほうはいままで通り受付させていただいております」とあり、さりげなく伝えていたのも、うまい呼びかけだと思った。

Zoom、Meet、Teamsなどのオンライン会議ツールも急速に普及しているので、オンライン状況下ならではのサポーターMTGなども可能であるだろうし、報告会や総会などもそうならざるを得ないが、オンラインMTGの前に必ずそこに入ってこれない人がいらっしゃるので、そこへちょっと声掛けしてサポートするところから始めてはどうかと思っている。

「コロナ・ディバイト」「デジタル・ディバイト」と名づけるべきか、できる人には当たり前で何でもないことが、アクセスできない人にとっては意外と高い障壁になっている場合があるのだ。そこで、いままでのミッションとは一見違うかもしれないが、オンライン活動報告会やオンラインボランティアデーなどを行う前に「おうちでの過ごし方」紹介とか「家時間の楽しみ方」など気軽なテーマで参加してもらって、その中のひとつとしてオンライン会議ツールの使い方・繋げ方などを紹介するところから始められたらと思っている。

実はこれは経験から感じていることなのだ。急速に在宅勤務体制となって、リモートワークをいままでしていなかった人にもしていただかざるを得なくなり、数人の方へパソコンの設定をオンラインで行った。電話やメールでオンライン会議ツールのZoomのアドレスを伝えてアクセスしもらい、Zoomには「画面共有」という機能があるので、相手にパソコン画面そのものを共有してもらい、それを見ながらどこにどういう設定をするのか、どんな数値を入力するのか等といったデジタルサポートを行った。意外にこれが「使える」という感じで、今後もこうしたやり方は当たり前となるように思った。

給付金であなたができることは2つある

コロナ対策の一環で、国民一律に一人10万円の「特別定額給付金」が支給されることが決定して、自治体によっては先に建て替えて高齢者などへ直接出向いて手渡したという報道もされていた。同様に日本中のいくつもの団体で「定額給付金が出ることが決まったので、困っている人々を救うあなたの団体で先に役立ててほしい、使ってもらいたい」と10万円を握りしめてやってきたという、素敵なエピソードが誕生しているという。本当に素晴らしいことだ。

一方では全閣僚の辞退を決めるなどの動きもあり、人によってはコロナ渦で別に生活はまだ苦しくなっていないので「自分まで受けとけっていいのだろうか」と躊躇される方もいらっしゃるかもしれない。しかしながら、あなたは給付金で2つの支援ができるのだ。

ひとつは、ちゃんと給付金を受け取ること、これだけでもいい。給付金を受け取らないことを美徳とする風潮は、逆に生活に困っている人だけが受け取るようにになってしまい、貧困の人々を孤立させてしまう。生活に困っている人もそうでない人もみんなでちゃんと受け取ることで、困っている人を独りにしないことになる。

そして、自分で活用すればよい。いままで我慢していたことに、また必要な支払いに充て、まずは自分の安全安心を確保してほしい。そして、もし余裕があるならば、そうした方々へ心を傾けて、あなたの自由意思で寄付をしてもらいたい。これがもうひとつの支援になる。

今こそ、ファンドレイジングが必要だ

オンラインセミナーの中でイギリスでの「99歳の退役軍人のチャレンジ」を紹介した。新型コロナウイルスと最前線で闘う医療従事者らのために寄付を募るため、自宅の庭25メートルを歩行器を使って100回歩くことに挑戦。その取り組みと謙虚さで一躍時の人となり、3000万ポンド(約40億円)以上を集めたトム・ムーアさん。チャリティウォークでのギネス記録となり、また彼が出した医療従事者への応援歌シングルが週間チャートで全英1位となりこちらのほうでも2つめのギネス記録として認定された。彼は「キャプテン・トム」と呼ばれ、英国の希望の象徴となっている。ファンドレイジングは人々に力を与える。

https://www.afpbb.com/articles/-/3281168

大きな目標の達成を目指しながらも、まずは身近な人に対して声掛けしていくこと。ファンドレイジングは単なる寄付集めだけではなく、仲間づくり、フレンド・レイジング。ファン度を高めていくことだという人もいる。そこからがいま必要だと思う。身近な人々にちょっと声をかけて働きかけよう。特に大学生は7割がアルバイトの停止や仕事がなくなったと回答し、2割が大学の自主退学を検討しているという報道もあった。ぜひ彼らもみんなで支えていきたい。

https://www.fnn.jp/articles/-/37684

この事態において、終わった時に元の姿へ戻すのではなく、ポストコロナは社会的距離や感染症拡大防止に馴染んで折り合いをつけながら、新しいしくみをつくっていこう。いま、まさにオンラインでできることの可能性がどんどん広がってきている。withコロナはポストコロナに向けての助走フェーズだ。

互いにいたわりあい、励まし合って過ごしていこう。
中には感染してベッドの上でお読みになっている方もいらっしゃるかもしれません。一日も早いご回復をお祈りいたしております。

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