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「ナッジ理論」を取り入れているNPOのウェブサイト事例3選

人は結構不合理な判断をするものだ、ということを前提に経済を捉える「行動経済学」。政治やマーケティング等、様々な分野で注目されている学問です。この行動経済学の理論のひとつに、シカゴ大学のリチャード・セイラー教授らが提唱した「ナッジ理論」があります。

ナッジ理論とは

ナッジとは、「肘で軽くつつく」という意味です。「ちょっと注意を引く」というイメージで、何かを強制したりそれしか選べないようにするのではなく、相手の自由を残しつつ、特定の選択や行動に誘導する仕組みやデザインのことをナッジと呼びます。

例えば、コンビニのレジ前の床に貼られている足跡マーク。お客様はみんな、このマークの後ろに一列に並びますよね。店員さんから誘導や指示をされたわけではないけれど、「何となくそうした方がいいかな」と感じて並んでしまう。これがナッジです。

人はデフォルト(初期設定)を選びがち

ナッジ理論の利用事例として、デフォルト(初期設定)があります。

下のグラフは、2003年にEC各国を対象に行われた、臓器移植の同意率の調査結果を表したものです。臓器移植のドナーになる意思があると回答した人の割合が低い国(ブルー)と、非常に高い国(ピンク)がはっきりとわかれているのがわかります。これらの国の違いは、何だと思いますか?経済、教育、宗教でしょうか。

(  Do Defaults Save Lives?

最大の違いは、意思の確認方法にありました。同意率が低かった国では、「臓器移植の意思がある人は、チェックを入れてください」という、いわゆる「オプトイン方式」をとっていました。一方の、同意率が高かった国では、「臓器移植をする意思がない人は、チェックを外してください」という、いわゆる「オプトアウト方式」をとっていたのです。

明確な意思がある人は、どちらの聞かれ方をしてもその意思を表示するでしょうが、そうでない人は、デフォルト(初期設定)をそのまま受け入れていることがわかります。

NPOのウェブサイト事例3選

このデフォルト(初期設定)は、NPOも活用しやすいナッジ理論だと言えます。ここでは、NPOのウェブサイトで、実際に活用している事例をご紹介します。

1. 日本赤十字社

http://www.jrc.or.jp/

1つ目は、昨年リニューアルされた日本赤十字社の寄付ページです。活動内容が広範かつ、災害時の義援金や海外救援金等の受付もされている赤十字社は、支援の方法も多様で、全てを同列に表示してしまうと寄付をしようとサイトに来てくれた支援者を迷わせてしまう恐れがありました。

そこで、赤十字社の活動を全面的に支援いただける継続寄付をデフォルトとして、一番上に、一番目立つデザインで配置。右サイド設置した、サイト内のほぼ全ページで表示される「今すぐ寄付する」ボタンも、継続寄付へ誘導しています。

2. Save the Children Japan

https://www.savechildren.or.jp/

2つ目のSave the Children Japanのホームページでは、「ご寄付のお願い」ページは「毎月寄付」がデフォルトで、「今回寄付」も選択できるようになっています。

画像はランディングページの方で、こちらは「毎月寄付」の獲得を目的に作られています。ここでは、3つある金額の選択肢のうち真ん中の5,000円を、また、クレジットカード決済と領収書必要をデフォルトにデザインされています。

3. 国連UNHCR協会

https://www.japanforunhcr.org/lp/refugee_children

3つ目は、国連UNHCR協会のランディングページ。「毎月寄付」、「クレジットカード決済」、「4,500円/月」がデフォルトになっています。

すべて同じページ内で別の選択肢に変えることができる、ユーザにとっても使いやすい画面の設計になっていると思います。


いかがでしたでしょうか。デフォルトの活用と言っても、寄付メニューの表示に優先度をつけるところから、誘導先を変える、金額をあらかじめ設定しておくところまで、いくつもの段階があることがおわかりいただけたでしょうか。他にも同じように工夫されているNPOのウェブサイトがありますので、少し意識して見てみるのも面白いと思います。

いよいよ2週間後となった今年のファンドレイジング日本では、今回ご紹介したような、行動経済学をつかったファンドレイジングの事例や、すぐに実践できる小さな改善についてセッションを行います。

ご関心のある方は、是非会場にいらしてください。

【FRJ2019】9.14(土)13:50〜15:00 小さな改善で成果が変わる 行動経済学を使ったファンドレイジング

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