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レガシーギフトの持つ可能性

急成長している遺贈寄付

これは、日本だけの傾向ではなくて、世界的に先進国共通の傾向ですが、特に、この数年の日本での遺贈寄付の件数と金額の伸びは著しいといえます。統計的なデータがないのが残念ですが、ある国際協力NGOでは、数年前の年3~5億円というのが、今年は20億円を超える規模になるところもあり、全体的に大手のNPOでの遺贈寄付件数の安定的な伸びがみられます。中堅規模のNPOでも「遺贈寄付を受けた」というところの団体数は着実に伸びてきています。

年40-50兆円の相続額

野村総研の調査によると日本の年間の相続額は、年40-50兆円ともいわれています。国家の税収に匹敵する金額が毎年、相続されているのが今の日本です。そのうち、資産の一部を社会貢献に活かすということに関心のある人が21%(寄付白書)と言われています。しかし、実態上は、実際に遺言書を書いて遺贈寄付する人はまだ、そのうちの0.1%もいないと思います。

しかし、昨年から急速にメディアでの取り上げも増え、昨年来、ほぼすべての主要雑誌で遺贈寄付の特集企画がありました。本当に一気にメディアの取り上げ方が変わった感じです。この記事を読んだ人たちの中で、今何かが静かに変化しつつあるというのが、日本の「まだ見えない地殻変動」なのだと思います。

人生の集大成の社会貢献の持つ意味

私は、遺贈寄付は、日本の寄付文化にとって決定的なブレイクスルーになると思っています。 かつて、堺屋太一氏(故)が雑誌で「日本が再び成長するためには、シニアが遺贈寄付をして、「シニアが誉になる社会」を創るのがよい」ということをおっしゃっていましたが、私も遺贈寄付に関係する中で、「人生の集大成で社会貢献するシニア」の姿は、日本社会のシニアに対するものの見方を変え、ひいては、子どもたちが、「かっこいいお年寄りになる」ことを目指す社会につながると感じています。そして、シニアが残したレガシー(遺産)が、新たな社会資産となっていく循環を社会が「実体験」することが、日本らしい寄付文化のブレイクスルーになるのではないかと感じています。

今、生まれつつある遺贈寄付の機運を大切に育むために

2019年の今、はっきりと申し上げられることは、ついに来た「日本の遺贈寄付の黎明期だ」ということです。しかし、逆に、この数年間はとても大事です。この数年間のソーシャルセクター側の動き方次第で、この芽は大きな樹にも育つし、立ち枯れてしまう恐れもある。歴史上、初めて日本社会が「遺贈寄付」ということで動き始めたんです。これが社会的な成功体験になるか、失敗体験になるかは、日本の未来に大きな影響をあたえます。

そこで大事なポイントは、「いかに遺贈寄付希望者の『人生の集大成としての社会貢献』に向き合い、それを最適に実現させてあげるか」という発想を、NPOなどの受け手側がしっかりと持つことだと思います。「どうやって遺贈寄付を取ろうか」ではなく。「どう意思を活かそうか」をまず考えていくこと、遺贈寄付希望者に向き合う姿勢を持つことが必要です。

今、全国レガシーギフト協会を中心に、その観点では非常にいいコミュニティができつつあります。この「社会としての初体験」を成功させる数年間をぜひとも実現していきたいと思います。

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