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インパクトラボ

スタートアップに活用したい、助成金の申請ノウハウ

皆さんは、助成金を取得して活動に役立てたことはあるだろうか?

助成金は、活動の初期や新規事業を展開するときにはとても有難い存在だ。さまざまな助成団体や自治体のものがあり、比較的容易な申請ですむものもある。採択されるとまとまった資金が提供される。私たちがファンドレイジング戦略策定をサポートする際にも、必要な資金調達の一部として助成金獲得をアドバイスすることもある。

申請作業では、事業の特徴を活かした申請理由をまとめることになる。その内容を、読んだ助成金担当者が「ぜひこの事業を応援したい」と思うまでところまで高められれば、ほかの支援者の方々に協力を呼び掛ける際にも共通して有効である。

また、申請書の項目を全て埋めていくことは、事業の全体像を総点検することにも繋がる。事業の特徴を改めて把握することで、説明する際に団体の強みなどをより際立って活かすことができるようになる。

反面、組織が助成金獲得に依存した体質になりすぎると、運営の基盤が左右され、助成金が無くなると活動が止まってしまうことにもなり兼ねない。せっかく非営利法人であるならば、一般の営利法人と異なって、非営利法人ならではの多様な財源を活用して、どれかに偏ることなく、バランスの取れた財務体制を目指すのが良いだろう。まずは、それぞれの財源の特徴を把握しておこう。

NPOの多様な財源とその特徴

1. 会費

● 継続的な支援は安定的な収入源となり、資金調達の見込みがたつ
● 会員は活動のミッションの一番の理解者
● 会員になるメリットを示す必要あり

2. 寄付

● 関係構築によって高額化(遺贈など)を望める
● 寄付者が寄付者を集め寄せてくれる場合がある
● リピーターを増やすには、フォローアップが必要

3. 事業収入

● 事業自体が団体活動についての認知度の向上とつながる
● 継続的な事業は安定した収入源に
● 初期の資金源としては調達が難しい
● 企業との競合に負けない経営能力が必要

4. 融資

● 最近はNPOを対象にした融資の仕組みもあり、つなぎ資金として有効
● 信用保証協会も使え、担保なしでも理事などの保証が必要
● 金利がつき、負債を負う

5. 助成金/交付金

● まとまった金額が調達可能
● 助成財団担当者からアドバイスも受けられる
● 第三者機関からのお墨付を得ることになり、団体の信用力が増す
● 自己負担金が求められる場合あり
● 精算払いの場合、入金されるまで事業費の一時立替えが必要
● 助成終了後の事業継続が困難になりがち
● 決められた会計処理・報告書が要求される

助成金獲得の前に必要なこと

助成金を獲得する前に、最も大切なことはなんだろうか?
団体としての事業を説明できる資料、年間の活動報告、財務上の資料、申請理由を補完する客観的データ・・・・。様々なものがあげられるだろう。

しかしながら、その前にちゃんとしておかなければならないものがある。それは理事会などの組織内の合意だ。このプロセスを経ていないと、例え採択された場合でも協力体制がとれないだけでなく、助成金を取ってからのトラブルのもとにもなりかねない。まずはしっかりと内部を固めてから申請にあたろう。そのためには、助成金についてのメリットとデメリットを押さえておくことだ。

助成金のメリット・デメリット

メリット

● まとまった金額が調達できる
● 資金以外の資源が得られたり、新しいネットワークとの出会いがある
● 信用度が増す
● 申請書作成や事前相談を通じて、事業計画書の中身を深く見つめなおすことができ、成長のためのアドバイスが受けられる
● 分野が多肢にわたっているので、目的に合った助成金を探すことができる

デメリット

● 打率は悪い
● 団体にあった助成プログラムと出会う必要がある
● 使途が限定されていたり、募集期間・事業終了期限などの締め切りがあり、団体側の必要に応じた展開はできない
● 人件費はダメで、消耗品しか認められないなどもあるので、使い勝手が悪いものがある
● 助成を受けた内容に対する活動報告はもちろんのこと、アンケート協力、面談、活動報告会や活動事例集への寄稿などの手間や負担が必要となる
● 助成金を使い切るための手間と、監査に耐えうる領収書収集に手間取り、「助成金貧乏」もしばしば発生する
● 単年度で使い切りになるため、助成金期間終了後の事業継続が困難になる場合も
● 自己資金(自己収入)が求められたり、精算払いの場合には入金までの長期間立替やつなぎ融資が必要になったりする

助成金を獲得するまでの手順と留意点

組織内の合意もとれて、いよいよ申請することになれば、以下のような手順で進めて行くことになる。それぞれの段階で注意することを把握しよう。

1. 助成金を探そう

「知らなかった」、「すでに申請受付が終了していた」ということがないように助成金の情報源をよく見て置き、団体にあったものを選択する。

助成金申請の主な情報源

2. 募集要項を精読しよう

いくつかの助成金を比較すると、特に前書きなどで「なぜこの助成金を募集しているか」「どんな思いで何を実現したくて、その担い手を呼び掛けているか」等が伝わってくる。これは申請書を作成する際にも大切な点だが、何を目指しているのかをよく理解して、申請するかどうかを判断しよう。

この段階でもしも事業募集の説明会や事前の個別相談会などがされているならば、参加するのがベター。助成の選考基準はそれぞれ異なるが、共通して言えることは「具体的な目標」「計画の実現性」「オリジナル性」

3. 申請書を作成しよう

申請書の書式やルール、用意すべき書類は落ち着いて点検しながら、それに沿って進めよう。最初からすべての項目を埋める必要はないので、できるところからどんどん進めていく。ただし、最も力を入れるところは、申請理由。「自分たちがこの活動をしたいから申請する」というのは正直な気持ちであるが、それだけではなかなか採択されない。客観的なデータなどを活用しながら「社会的に必要されているから、この事業を展開する。それによって社会的課題を解決する」というトーンを意識しよう。力の配分としては、この申請理由に8割ぐらいの労力をかけるといっても過言ではない。

申請書は自分ではよく書けたと思っていても、ほかの人に読んでもらうことも必ず実施しよう。自分では気づかない点や間違いをチェックしてもらえる。その際には審査員というまったく団体とは繋がりがない人に理解してもらえるか、専門用語を使っていないか、もし使っている場合にでも意味をちゃんと説明する。審査員は難しい単語や英文などが混ざっている場合には、よくわからないというカテゴリーに分類してしまうので、自分たちの団体では当たり前でも、一般の人にわかるかをできるだけ多くの人々に読んでもらいチェックしよう

実施する内容は無理をしすぎると、ほかの活動が止まってしまうことも生じてしまうので、ここも確認しておく。また申請内容で予算書をつくることも無理ないレベルで申請しよう。特に募集要項で申請できる費用のルールをよく確認して積算しよう。助成団体からすれば、大切な資金を託して事業を実施してもらうので扱いがしっかりとできるのかを見極めている。申請書作成を通じて事務処理能力も問われている。

また、事業の説明ではなく、ブレスリリースを書くつもりで客観的に判断できる「数字」「効果」などを盛り込み、例えばこの分野ではナンバーワンであるとか、ほかの事業とは異なるアピールポイントなど、しかもこちらが言いたいことでなく、相手が聞きたいことをしっかりと盛り込もう。申請の段階では、締め切りや文字制限などルールを守ること。これも事務処理能力が問われているのだ。

4. 助成団体と良好な関係を保とう

申請書類を全て整えて、期日までに提出したら、まずは一安心。けれど、細かく追加問い合わせが入ってくることもあるので、その場合にはしっかりと対応しよう。

採択の連絡があったら、担当者とは今後も連絡をとることも増えていく。お目付け役ではなく、第三者からのアドバイスも得られることがある。良好な人権関係を構築しよう。また助成金を受けたこと自体を公表して、チラシなどにロゴマークを入れるなどの指定があれば必ず実行しよう。

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