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海外の「ファンドレイジング・レポート」には何が書かれているのか

寄付の動向について知りたいときは『寄付白書』(日本ファンドレイジング協会)を手にとるかと思います。一方でファンドレイジングの現場では、もう少し突っ込んだ情報が欲しい画面もあります。例えば、自分たちの寄付単価が全体と比較して高いのか低いのかと、といったように。

海外ではこうしたニーズに沿った「ファンドレイジング・レポート」が提供されています。以前にご紹介した『集約化された情報・データの活用がファンドレイジングにもたらす価値』(https://fundrex.co.jp/lab/1893/)の公共放送局のレポートもその一つですが、なかでもBlackbaud社の『Charitable Giving Report(慈善寄付レポート)』が有名です。

<参考>
『Charitable Giving Report 慈善寄付レポート』(※1)
世界最大の非営利向けデータベース提供企業であるBlackbaudが毎年発刊しているレポート。8,800以上の非営利組織からの寄付(400億ドル以上)情報をもとに傾向を詳しく解説。

1.オンライン寄付

本書を開くとまず「オンライン」での寄付情報がクローズアップされており、注目度が高いことが推測できます。

寄付全体では前年比2%増に対して、オンライン寄付は20%増と拡大しており、全体に占めるオンライン率は13%となっています。全米での小売り全体のEC(≒電子商取引)は14.3%のため、オンライン寄付の数字は高く、アメリカでは浸透していると読み取れます。

一方で日本に目を向けると、経産省の資料(※2)から2019年の小売りEC率は6.7%で、市場成長率は8%増となっています。こうしたなかで、日本のオンライン寄付の実情は気になるところです。

2.分野別と月別

「①規模別」「②分野別」そして「③月別」に情報を区分けし、それぞれについて傾向を伝えています。

①「規模別」

小規模(100万ドル未満)組織は、寄付が前年比7.2%減となっています。ただ、オンライン寄付は伸びており、それが占める割合も小規模組織ほど高くなっています。つまり、小規模組織ほどオンライン寄付を積極的に活用することで、得られる効果が相対的に高いのではないかと思えてきます。

②「分野別」

この情報には高額寄付者も含まれており、レポートでは彼らの存在が平均単価に大きく影響しているのではないかと述べています。

③「月別」

12月の寄付額が全体の20%と最も高く、次いで6月の10%となり、他は6-7%台となっています。

日本でも、12月と6月はボーナス時期であり、12月は『寄付月間-Giving December-』もあることから、月別の寄付額は気になります。

3.寄付者

寄付者個人の傾向にも触れています。

ここでは、単発寄付と継続寄付(いわゆる「マンスリーサポーター制度」など)を分けていない模様です。ただ私の経験上では、日本国内での単発寄付も同じ傾向があるのではと感じています。この辺りはまた詳しく伝えたいと思います。

最後に

今回はBlackbaud社の「ファンドレイジング・レポート」を例に、特徴的な指標をピックアップしてみました。詳しく知りたい方は参考資料のURL先からぜひご覧ください。

海外ではこれ以外にも業界ごとに似たレポートがあったりします。私は日本でもこうしたレポートを作れないかな、と思っています。

参考資料

※1 Blackbaud社 Charitable Giving Report(慈善寄付レポート)
https://institute.blackbaud.com/charitable-giving-report/
※2 経済産業省 電子商取引に関する市場調査の結果
https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003.html

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