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初めてファンドレイジングを行うときにイメージしたいホップ・ステップ・ジャンプ

初めてファンドレイジングを行うとき、これからどのように進んでいくのか不安に思うことはありませんか。

最近ではファンドレイジング関係のセミナーも増え、具体的に何をやるべきかが、わかるようになってきました。しかしながら、数年という中長期目線では、仮にファンドレイジング戦略をたてても、その過程は見え難いという声も聞こえてきます。そこで、今回はその流れを追えたらと思います。

1.〈ホップ〉種火をもとにしたファンドレイジング

最初は、ファンドレイジングの起爆剤となる資金を得る場面から始まります。

例えば、ヨットなどの水上スポーツを通じて子どもたちへの教育をサポートしている非営利組織がありました。その組織は、湖岸に保持している施設の改修をきっかけに、ファンドレイジングをスタートしました。

担当スタッフは、ファンドレイジングの研修を経て、まず行ったことは補助金・助成金の申請でした。ただし、施設の改修費だけでなく、ファンドレイジングにも使える組織基盤強化も申請しました。さらに、長年応援してくれている人々に会い、活動の意義を熱心に伝えて、支援、特に使途としてファンドレイジング活動への支援をお願いしました。

その結果、助成金に加えて、百万単位でのファンドレイジング活動に充てられる寄付を得ることができました。これ元手に、理事の一人に有償でファンドレイジング活動のサポート依頼をするとともに、最低限の広報ツールを整え、さらに内部勉強会などを通じて組織一丸となってファンドレイジング活動ができるようにしていきました。

このステージは、約半年から1年ぐらいをかけ、数百万円(多ければ1千万円以上の)の補助金・助成金や寄付を目指し、最低限のファンドレイジング基盤を整えていきます。

2.〈ステップ〉熱意を持ったファンドレイジング

次のステージでは、団体に近い人たちから積極的にアプローチしていきます。例えば、上記の団体では、施設がある地域の人たちや、施設を利用する子どもたちのご両親などが考えられます。ここでは、ファンドレイジングのツールである「ステークホルダーピラミッド」などを活用することで、自団体に近い人たちを再確認することができます。

こうして見えてきた近い層の人たちへ、定期的なイベントなどを通じて、組織や活動の意義を伝えていきます。このとき最も大切なことは『熱意』です。ファンドレイジング活動は、寄付を頂くことを目的としがちですが(それはそれで正しいのですが)、それ以上に自分たちの「ファン」になってもらうことが重要だと、私は思います。この「ファン」になってもらうには『熱意』がなければ心は動かされません。

ちなみに、このステージは約1年から長いと数年を要する場合もあり、『熱意』ないしはスタッフのモチベーションが活動の源泉になります。これを維持するための方法の一つとして「成功体験の共有」をお勧めします。例えば、どんな些細なことでも、日々うまくいったことを組織で共有し賞賛しあってはいかがでしょうか。

3.〈ジャンプ〉外部ノウハウを活かしたファンドレイジング

この頃には、熱心なリピーター層が中心となり、組織の財源も安定してきます。しかしながら、新たに支援者が増えないこと、そして既存の支援者も少しずつ離れてしまうことが悩みとしてあがってきます。そこで、ここでは外部のノウハウを積極的に活用することがポイントになってきます。

例えば、新たな支援者へのアプローチとしてweb広告などのデジタルファンドレイジングに資金をあてたり、既存の支援者情報をデータベース化して満足度を高める施策を充実させるなど。

また、平行して組織が大きくなりやすく、スタッフ一人一人が様々な業務に対応することも多く、疲弊しがちになります。そのため、業務の一部を外部に委託するなど、組織の体制や運用を整える場面もでてきます。

まさに組織の成長痛みたいなことも出やすく、いかに外部の力を活用できるかが大切になってきます。

なお、このステージでは寄付収入は数千万円(多いと億単位)になってきます。持続的な成長を考えると、寄付者の割合としては少なくとも2-3割は新規が占め、リピート率として例えばマンスリー制度を設けている場合は、年間の維持率を80-90%に維持することを意識すると良いかもしれません。

最後に

中長期的な観点では、3~5年ぐらいの期間を通じて、この3つのステージをたどる傾向があるように思えます(あくまでも一例であり、この流れに乗らずに成長することもあります)。

・ホップ(種火となる資金をもとのファンドレイジングを開始)

・ステップ(手元にあるリソースを使って既存の関係者へのファンドレイジング)

・ジャンプ(外部からのノウハウを活用した効率・効果のアップ)

このあたりをイメージし、前もって準備することで、スムーズに進められるかもしれません。

最後に忘れてならないことは、普段の事業活動がしっかりと行われていること、そしてファンドレイジングの意義を大切にすることだと私は思います。

あるファンドレイジングを始めたある担当者は「ファンドレイジングを通じて、お金が集まっただけではなく、組織にファンドレイジングの文化を浸透させ、支援者との関係を大切にする意識が高まりました」と話していました。

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