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IMPACT LAB

インパクトラボ

Withコロナの寄付月間、あなたの周りで起こったことを話してみませんか

5年を満了した寄付月間。12月はひとりひとりで「寄付をする」ことについて考える機会をつくろうと民間連携で始まり、今では内閣府を始めた多くの自治体も賛同団体となっている。

寄付するあなたを誇りに思う ~寄付月間5周年PV~

コロナの影響下で起こった変化にはいくつかあるが、寄付やファンドレイジングにポイントをあてると、1)DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、2)寄付分野の拡大、3)役立ちたい気持ちがステイホームから届けられる、等が挙げられる。

DXの推進:2年ぐらいで計画していたことが2カ月で実現した

DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義として「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」(「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」経済産業省(2018年))とあるが、要するに「デジタル技術を使って社会変革を促す」ことを指している。これまでにも先端企業や自治体ではDX推進室などが設けられ、成長戦略の中に据えているところもあったが、コロナの影響で多くの人々にとっても実際面で身近になったのではないかと思っている。

オンラインでの会議は当たり前で一日何回も居ながらにして参加でき、月に何度かを目指していた「リモートワーク」も常態化、セミナーもオンラインで、評価テストでさえもオンラインで行うようになった。これまでは情報を体感したり、イベント会場で足を運んでいかねばならなかったことが、物理的な距離を乗り越えて参加できるようになったし、反面、感染拡大防止の観点からむしろ「密」を生み出す大規模イベントを自粛したり、参加を見合わせる向きも多くなってきている。「面と向かって体感することに勝るものはない」のは当然であるが、疑似体験としてそれを上回るかのように、どんどん進化を遂げていっているかと感じられるものが多くなっている。

コロナの影響によって、今までは、数年先にはそういう方向になっていただろうなと思われていたことが、この数カ月で急速に実現されてきたことは大きい。今後は、デジタル技術やデータ活用によって関係者、支援者との関係性がより深化を促すようになるのではないだろうか。

寄付分野の拡大:NPOだけが寄付の受け皿ではなくなってきた

コロナの影響を受けていない業種・業界はないと思われるが、その多くは減収減益、さらに雇用調整や事業縮小、停止廃止など厳しい局面がじわじわと拡がってきているようにも感じられる。その中で、これまでは災害支援を始め、社会的課題を解決する団体組織が解決策を掲げて、共感を得て、寄付を託されて活用していたが、今回はクラウドファンディングなど直接金融の手段も身近なものとして認識されてきたこともあって、寄付もこれまでにはなかった事業者などへも直接送れるようになった。

例えばステイホームで売り上げが減ってしまった飲食店、旅館、小劇場などで、これまでだと新築したり、リノベーションしたり、新分野へのチャレンジするとか、具体的な実現を促すものであったが、窮状を訴えかけ現況を支えるという寄付の動きが広がってきた。

医療従事者が最前線で困っていることを知って「それは何とかしなくては」とたくさんの支援が集まったのはこれまでの寄付動向の延長線上だと思われるが、困っている事業者を目の当たりにして何かしたい、むしろ何をするかを問われているような場面ではなかっただろうか。特に義援金がなかったことから、これまでだとクラウドファンディングでもなかなか1億円を超えるプロジェクトは生まれなかったのが、いくつも生まれるようになったのが特徴的であった。

コロナの影響で、このようにいろいろな分野へ寄付の可能性が広がり、ドラマ「半澤直樹」のセリフ「施されたら施し返す、恩返しだ!」ではないが、支援を受けた人がなんとかそれに報いるようにしていくため、今後も相互に支え合う社会が生み出されていくのではと感じている。

役立ちたい気持ちがステイホームから届けられる:#家から支えよう

1995年(平成7)の阪神・淡路大震災では、大都市近郊の発災であり、悲惨な震災現場の報道を見ていて「居ても立っても居られない」キモチで数多くの人々がボランティアとして3カ月間で約100万人が訪れ、後に「ボランティア元年」と呼ばれ、NPO法ができるきっかけとなった。

2011年(平成23)の東日本大震災では、ボランティアに向かおうとしても、被災地が東京からもボランティアバスで1日かがりと遠く、範囲も500キロメートルにも及び、大地震・大津波・原発事故と複合型であったことで、これはプロでないと無理だということになり、ボランティアができないのならば今できる支援は何かと考えた時に「寄付」だということでたくさん寄付に流れ、社会貢献の両輪であるボランティアと寄付が連動したことが特徴的で、国民の約7割が寄付を経験して「寄付元年」と呼ばれた。

今回のコロナの影響は災害とみることはできても。特定地域というものがないため、いわゆる日赤や共同募金か窓口となる「義援金」が設けられなかったため、何か役に立ちたいと思った人が自ら寄付先を求めて探したり、報道で流れたところへ殺到したりした。特に2011年の時と同様にボランティアができないならば今できることは寄付だと、力強く寄付行動へと繋がったように感じている。

3月下旬に東京都から平日の自宅勤務要請があり、4月からの緊急事態宣言、やがて全国に拡大する中で、ステイホーム、学校も休校となって家族が家庭の中で一日中過ごし、家事も学業も仕事もみんな室内にこもって行った。そんな中、自分自身も影響の当事者となってみて、今を乗り越えてみんなで協力しあった時に誰かと繋がっていたい気持ち、そして何か希望の方向がないかと探していった。家に留まっていてできるボランティアは限られていたため、ステイホームしながらできる社会貢献は「寄付だ」と家に居ながら支える仕組みへと流れたように感じる。これは買い物に出かけられないのでデリバリーやテイクアウトを敢えて使って飲食店などを支援しようとした動きとも繋がっている。

また義援金というわかりやすい寄付先がなかったため、寄付先を探すためにクラウドファンディングのサイト内を探してみたり、有名人が呼びかけている寄付サイトに人気が集中したりした。加えて、国民一人当たり10万円の定額給付金の支給もこれを後押しした。給付されるというニュースが流れた途端に「今、困っている人へ役立ててもらおうとあなたのところに持ってきた」と10万円を握りしめて窓口にやってきた人があるという話を、いくつも団体から伺った。実際にはニュースで流れただけでまだ支給はされていないのだが、自ら立て替えてでも、今すぐに役立ててもらおうとした気持ちの表れであった。

コロナの影響で、自分も苦しい中、耐え忍び、それでも希望を求め、もっと他の人々の役に立とうとする姿勢がより顕著になったように感じている。

寄付月間2020:あなたの寄付について話そう

このように今年は多様な担い手が様々な寄付を方法も、分野も、金額も実に幅広く行った年だと思われるので、12月の寄付月間ではぜひ多くの皆さんに参加していただきたいと思っている。寄付の可能性が広がり、生み出された寄付のかたち、ぜひそれぞれが主人公となっている「寄付のストーリー」を身近な人々語り合うような機会を寄付月間の企画としてもちたいと思っている。

※「寄付月間(Giving December)」は、NPO、大学、企業、行政などで寄付に関わる関係者が幅広く集い、寄付が人々の幸せを生み出す社会をつくるために協働で行う、12月1日から12月31日までの全国的なキャンペーンです。

http://giving12.jp/

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