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Beyondコロナ:世界のリーダーが今真剣に考えていること―UNDPのPrivate Sector COVID-19 Facility x SDG Impactがもたらす未来の可能性

5月18、19日にオンラインで開催されたGSG Leadership Meeting(招待制・非公開)は、インパクト投資、財団、32ケ国の代表者と国際機関約100名超のリーダーが一堂に集まり、COVID-19を超えた未来の形を議論する非常に考えさせられる2日間だった。

UNDPのマルコスCOVID-19Facillityヘッド、エリザベスSDG Impact ディレクター、クリフGSG CEO/前Big Society CapitalCEO、筆者他で議論したセッション

その中で重要だと感じたことが2つ。

ひとつは「未来をどう作るかを今しっかり考える必要がある」ということ

もうひとつは、「民間企業が社会問題にポジティブなインパクトを生み出す環境設定をすることが必要」ということである。

UNDP(国連開発計画)のPrivate Sector COVID-19 Facilityのトップであるマルコス・ネト氏は「これまでのUNDPは社会経済的な課題や開発ニーズを分析して、政府や国際機関に発信するのが役割だった。今回の新型コロナの局面では、対象が違う。ビジネスセクターに対してこそ社会課題や開発ニーズを発信する必要がある。」と語る。

今回の新型コロナの影響は、特定のセクターにとどまらず、マルチセクターで多様な取り組みを繋ぎ合わさなければ乗り越えることができない。かつ、行政の財政出動は個人や企業の最低限の経済状況回復だけでも限界目一杯であり、経済や社会の回復のため、つまり「未来を生み出すため」の取り組みまでは十分に手が回らない。だからこそ、誰かがファシリテーター役となってビジネスセクターがもたらすポジティブな社会的インパクトを最大化しなければいけないということだ。

SDG Impactのディレクター、エリザベス・ボッゴス氏は「国連で準備を進めてきたSDG Impactも、COVID-19を踏まえて役割を進化させる必要があると考えている。それは、社会・経済的課題を世界レベルで可視化し、そこへの効果的アプローチを整理し、発信するということ。様々な主体の活動を、インパクト評価も絡めながら可視化し、新たなマルチセクターが参加する社会経済の回復をリードする役割を果たしていきたい」と語る。

GSGの会長であるロナルド・コーエン卿はこう語る。

「世界の経済の回復は最短で見ても3年はかかる。その間、失業は増え、最も弱き人たちが最も苦しむ。しかし反面、不平等など、今、私たちの社会を形作っているものに気づく機会でもある。この戦いに勝つためには、私たちは現場の実践で実証しなければならない。そして企業の活動のポジティブ・ネガティブのインパクトを評価すること、企業が財務情報だけではなく、社会に与えたインパクトをしっかりと評価し、開示することを実現しなければならない」

私がこの2日間で感じたBeyond COVID-19の新パラダイムでの社会問題解決にとって必要なキーワードは次の3つだなと感じます。

1 ファシリテーターの重要性が高まる

SDG Impactを軸に、グローバルな企業を中心に社会問題の解決に向けた役割・関与が加速度的に増す。そこに社会問題を構造化し、可視化し、企業参加を誘発し、ファシリテートする存在が多様なレベルで必要となってくる。CSO(市民社会組織)側にも今まで以上にその役割への期待が高まる。

2 本質的な社会的インパクト評価の重要性が高まる

「本質的な変化をとらえた」インパクト評価の主流化が世界ですすむ。それは、決して表層的で資金提供者にとって分かりやすい美しい数字での表現ではない。世界のソーシャルセクターのリーダーたちは、「本質的な変化を捉えた評価」をいかに標準化させるかに一生懸命になっている。

それは、ビジネスセクターが社会問題解決に今後加速度的に参加するときに、「前提」として必要なインフラであると気づいているからだ。一見美しい社会問題解決のビジネスが現場では悲惨なネガティブインパクトを生んでいることはある。それを防ぐのは評価の役割なのである。そして、上場企業がインパクトレポートを出すことを原則義務付ける証券取引所が欧米で近い将来出る。行政やCSOだけではなく、企業も含めた全プレイヤーが連携した社会問題の解決のステージへの進化が、「指標と評価(Indicators and Measurement)」を共通言語として、加速度的に進む。

3 「制約を超えた社会変革」を誰もがゼロから発想して今動く

今、この大変な状況に中においても、状況に受け身で対応するだけではなく、未来の形を構想し、そこに向けて一歩今着手しはじめることは、1年後の回復ステージで大きな差となって表れる可能性がある。それだけ、今、新たなポジティブなインパクトを生み出そうとする動きへの社会の受容性は高い。半年後に社会が落ち着きを取り戻して余裕ができてから踏み出す1歩と、今踏み出す1歩では、感覚値では10倍の中長期的インパクトの差を生む。

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