コミュニケーション
支援者に寄り添ったコミュニケーションを忘れない
新型コロナウイルスに対して国内外問わず最前線で取り組まれている医療・福祉・公的サービスを支えている皆様に感謝申し上げます。また、政府による緊急事態宣言が4月16日に全国を対象に拡大されたことで、多くの皆様が大変なご苦労をされているかと思います。
この未曾有の状況下において、おそらく私たちの「働き方」「暮らし方」ひいては「生き方」が大きく転換されることになるのではないでしょうか。こと、ファンドレイジングにおいても同じような変化は避けられないかと思います。
1.オンラインの波
日本以上に深刻な米国では、非営利組織の多くが存続の危機に瀕しています。
参考:『全米の非営利団体の約50%は1か月未満のキャッシュ』https://trust.guidestar.org/half-of-us-nonprofits-on-financial-precipice-new-report-finds
この危機から抜け出すために、様々なファンドレイジングの実践が日夜行われていますが、なかでもオンラインツールの活用が加速的に進んでいるように見えます。例えば、一夜に数百人が集まるチャリティーパーティとオークションを組み合わせた”ガライベント”(ガラは「祝祭」を意味するフランス語)を行っている組織は、オンラインツールを活用したイベント実施を検討し始めています。
日本でもオンラインツールを使ったミーティングが、この情勢下で増えています。今までは『まず電話して、そして会いに行く』、という行為が『オンラインで会う』に置き換わり、会いに行く行為の希少さが増すかもしれません。
2.オンラインとオフライン(リアル)の違い
オンラインの特徴として、距離や広さといった空間の制限を超えることができます。例えば、先のガラパーティでは、イベント会場はオンラインになるため、自宅にいても参加できます。また、会場のキャパシティも考慮する必要がなくなります(サーバー上の制約はあるかもしれませんが)。
一方のオフライン(リアル)の特徴としては、五感を通じた体験価値や密なコミュニケーションによる強い感情を得ることができます。例えば、イベントで偶然に隣り合った人と意気投合するなどはリアルな接点ならではと言えます。
このような特徴を踏まえて、オンライン前提で考えると、多くの人とのコミュニケーションが実現できる反面、参加者の体験価値が薄まる可能性があります。この体験価値をいかに担保するのかがポイントになってきます。
その方法として考えられている一つに「情報」(「ビックデータ」さらには「AI」など)があります。例えば簡単なところでは、イベント参加者に事前アンケートを実施してよりリッチな情報を把握することで、参加者の関心軸ごとにテーブルの席を決めるなど。参加者となる人ごとの詳しいデータを蓄積し、それを活用することで体験価値を創造するというものです。
とはいえ、リアルのすべてをオンラインでカバーするのは難しいかもしれません。しかし、大切なことはオンライン前提でリアルの特徴を捉えて実践する、という意識と行動が今後はより求められてくるのではないかと思います。
3.相手がいることを忘れない
オンラインでもリアルでもコミュニケーションで変わらない点があります。それは「相手がいる」ということです。特に、新型コロナウイルスの危機に誰もが直面している今、オフラインでのコミュニケーションを行う場合でも、相手の状況や感情を強く考慮する必要があります。仮に寄付のお願いをする場合は、その人の心情に寄り添った言葉を必ず添えることを強くお勧めします。