ENGLISH

IMPACT LAB

インパクトラボ

マンスリーサポーター制度の可能性~「寄付してよかった」から「寄付”者”であり続けよう」へ

寄付を継続して行う方法として、例えば毎月支払いを行う「マンスリーサポーター制度(以下、MSと略)」があります。このMSには、寄付者の意識が変わる可能性があるのではないかと考えています。

1.マンスリーサポーター制度の成り立ち

日本の非営利組織では、以前から「正会員」「賛助会員」という会員制度を設け、年1回会費を頂く方法があります。この制度の特徴は、課題に共感した”仲間”感を創出できることです。一方で、議決権を有する「正会員」は税額控除を受けられない点や、年1回の支払いを忘れてしまうなど、ファンドレイジング上の課題がありました。

そうしたなか、ファンドレイジングが国内に浸透するとともに、クレジット決済などのITソリューションの進歩も相まって、MSの仕組みを設ける組織が増えてきました。

2.マンスリーサポーター制度の鍵~「寄付してよかった」から「寄付し続けよう」へ

MSを開設した組織では、積極的に新規獲得を行い、入会時には感謝を伝えます。しかしながら、組織としても、また入会したサポーターとしても、気持ちのピークがこの入会時点で止まってしまうケースがあります。彼らサポーターからすると、入会した瞬間は「寄付してよかった」と感じられるかもしれませんが、その後は、例えばメルマガと年数回の会報が送付されるだけだと、気持ちの高まりを維持するのは難しくなってしまいます。その低下は、いずれ退会へと繋がっていきます。

この退会を防ぐためには、「寄付して終わり」ではなく「寄付して始まる」という意識が大切になってきます。いかに寄付者の気持ちを下げずに、関心を持ち続けてもらえるか、といった時間軸を念頭においたコミュニケーションです。例えば、「ペルソナ」を設定して「ドナージャーニー」を元にしたコミュニケーションなどが挙げられます。

MSの鍵は、サポーターの気持ちが「寄付してよかった」から「寄付し続けよう」へと変わること、そのためのコミュニケーションをとることだと言えます。

3.マンスリーサポーター制度の可能性~「寄付してよかった」から「寄付”者”であり続けよう」へ

最近、さらなる可能性がMSにはあるのではないかと考えています。それは、組織とサポーターとの繋がりが強くなることで、彼らサポーターが持つ社会課題に対する意識が、より一層深化するという可能性です。例えば、興味があって入会したなかで、組織とのコミュニケーションを通じて、社会が抱える課題を深く知り、その課題解決への意識が一層高まっていったらどうでしょうか(組織が扱っている課題だけに限らず、そこから拡がっていくこともあり得ると思います)。もしかしたら、彼らサポーターの日常的な行動や考え方にちょっとした変化が生まれるかもしれません。

MSは、組織としての収益の安定性を高めるだけでなく、サポーターに対してもプラスの影響を発揮する可能性を秘めています。サポーターが、社会を構成する一個人としての自覚を強く抱き、自分として何ができるのかを考えるなかで、毎月の寄付という行為をより一層納得して、自ら「寄付”者”であり続けよう」と思えたら。こんなことがMSで実現できたら、また多くの組織がこのMSの可能性を実現できたら、社会がまた一歩よくなっていくのではないでしょうか。

私は、このMSによるサポーターへの影響(の可能性)まで焦点を当てた施策の試行をしています。もし、ご関心がある方がいらっしゃれば、ぜひご連絡ください。

関連記事

もっと見る