EN

IMPACT LAB

インパクトラボ

行動経済学✕ファンドレイジング―3.アンカリング効果と極端回避性

「10,000円以上で送料無料」の文字につられて、つい欲しくなかったモノまで買ってしまう。「月末までに2キロ痩せる!」と決めても、スタートは「明日から」と先延ばしにしてしまう。こんな経験、身に覚えのある方も多いのではないでしょうか。

私たちは、伝統的な経済学が前提としている、高い計算能力と超合理的な判断力を有し、その判断に基づいた計画を間違いなく実行できる人間=「ホモ・エコノミクス(経済人)」 とは、ずいぶん違う行動をします。

不十分な計算や直感に頼って不合理な判断をしたり、せっかく立てた計画を実行できなかったりする、「生身の人間」を前提にして経済を考えているのが、行動経済学。面白いのは、私たちがしてしまう「不合理な判断」には、法則や傾向があることがわかっているという点です。

今回は、その中から「ヒューリスティックス」と呼ばれる意思決定の方法と、その例としての「アンカリング効果」と「極端回避性」についてご紹介します。

ヒューリスティックスとは

経験や直感に基づいて判断する意思決定の方法を、ヒューリスティックスと言います。いつも正しい答えが出せるわけではないというデメリットがありますが、 時間や労力をかけずに素早く判断できる、生活の中ではとても便利な判断方法です。

お店で「広告の品」というポップがついている商品を、お得な商品だと判断していること、ありませんか?実際には、新発売だったり入荷が珍しい商品だったり、金額とは違う理由で広告に載っている可能性もあるので、その判断は、時には間違っているかもしれません。でも、広告に載っている=値引きされているという経験からの判断は、正しいことも多いですし、考える時間や労力が少なくて済みますね。

アンカリング効果

アンカリング効果とは、先に見た数字が判断の基準になってしまう効果のこと。987×654×321と、321×654×987では、もちろんどちらも同じ結果になりますが、直感では、前者の結果を大きく判断してしまう傾向があります。

全く同じ商品でも、12,000円から値引きして9,000円で売っているお店Aと、10,000円から値引きして9,000円で売っているお店Bがある場合、お店Aで購入する方が得するような気がするのも、アンカリング効果。

ファンドレイジングでは、例えば、寄付額を提示する際に大きな額を先に提示するという応用が考えられますね。オンラインの寄付ページで寄付単価の例を掲載している場合、大きな額が先に目に入るように表示されていますか?

アンカリング効果は、それぞれが全く関係ない数字でも有効というのも、面白いところです。郵便番号の記入欄の下に寄付額の記入欄があるフォームを使ったところ、郵便番号の数字が大きい人の方が寄付額が大きくなったという米国での事例もあります。

極端回避性

上中下、松竹梅のような3段階の選択肢を提示されると、真ん中の選択肢を選ぼうとする傾向のことを、極端回避性と言います。

ランチメニューが900円と1,200円の2択なら900円の方を選ぶという人も、900円・1,200円・1,500円の3択だと、1,200円のランチを選びたくなるという傾向です。

2択のときは高いと思った1,200円が、3択の真ん中にくると「そんなもんかな」という気になる。選択肢の設計だけで、同じ1,200円の評価が変わってしまうのは不思議ですよね。

極端回避性も、寄付額の選択肢の設計でファンドレイジングに応用できますね。選択肢は3つ~5つ、一番選んで欲しい金額を真ん中に置くようにしてみましょう。

寄付フォームでの応用

最後に、今回ご紹介したアンカリング効果と極端回避性を寄付フォームに応用したイメージを見てみましょう。

まずは、1,000円のプルダウンを開くと3,000円の選択肢がでてくるパターン。あなたなら、どちらの金額を選択しますか?

では、こちらのパターンでは、どうでしょうか。どの選択肢をとりますか?

選択肢の設計と見せ方が変わるだけで、選ぶ金額が変わりそうな感覚、ありましたか?

自団体のホームページやパンフレット等、応用できそうなところがあれば、ぜひ見直してみてくださいね。

関連記事

もっと見る