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少し先の未来に目を向ける―ロジックモデルのはじめかた

明けましておめでとうございます。というには、少し遅い時期になりましたが、みなさま、お正月気分はもう抜けましたか?新しい年を迎えて心機一転という方も、年度末までは大忙しという方も、おられるかもしれません。

今日は、新しい年が始まったこの時期に(目の前の忙しさは一旦横に置いておいて)少し先の未来に目を向けて、事業が生み出している価値を再確認するための、ロジックモデルの基本的な作り方についてご紹介していきます。

ロジックモデルとは

ロジックモデルとは、事業の目標(どのような変化や価値を生み出したいか)を達成するためのプロセスを、論理的に整理するためのツールです。

具体的には、下図のように

  • 最終的な目標(長期成果、インパクト)を明確にし
  • その手前で必要となってくる成果(中期成果、短期成果)
  • その成果を生み出すために必要な活動とその直接的な結果
  • その活動をするために必要な資源(人材、資金、設備等) を整理していきます

基本的には、未来から逆算して、必要な資源や活動を考えます

例)ダイエットの未来を考える

わかりやすい事例として、ダイエットでロジックモデルを作ってみましょう。

年末年始、忘年会や新年会で食生活が乱れ、年明けのある日体重計に乗って、あーやばい。ダイエットを決心したとしましょう。

この時の「ダイエットしよう」は、大抵の場合、短期的成果です。

落ち着いて、長期成果を考えてみましょう。そのダイエットは、何のためですか?

理想的な体型になりたい、フルマラソンを完走したい、健康になりたい、長生きしたい。などなど。「ダイエットしよう」と言っても、人によって目指している長期成果は様々です。そして、長期成果が異なると、ロジックモデルも異なります。

例えば、理想的な体型を手に入れたい場合は、間食をやめるという食事制限だけでなく、筋トレもした方が良いかもしれません。

一方、健康になることを目的にダイエットする場合は、体重だけでなく内臓脂肪や血圧のことも考えた食事制限、さらに生活リズム自体の改善も必要になるかもしれません。

ここまで見ていただいてわかる通り、目指している最終的な成果によって、行うべき活動は違ってきますし、結果や短期的/中期的成果として設定する項目は、状況(この例ではダイエットする個人の健康状態や生活)によっても違ってきます。

大切なのは、このプロジェクト(この例ではダイエット)に取り組む人が、納得できる結果・成果が設定されていること。そして、その各要素が「つながっている」ことです。

測定指標について

ダイエットの例を見て、「目標体重○kg」とか「1ヶ月にジムに○回行く」といった数値目標を入れなくていいの?と思われたかもしれません。具体的に測定できる目標を設定することは、最終的な成果に向かって前進していいる(または停滞している)ことの確認に有効ですよね。

ロジックモデルでは、上記のように「要素がつながっている」ことの確認がとても大切なので、まずは各枠に要素を入れて全体を確認し、それから具体的な目標や測定指標を設定する、という順番をとることが多いです。

ロジックモデルができたら、直接的な結果、短期的/中期的成果、最終的な成果について、測定指標を設定してみてください。

なお、測定指標を設定したら、「活動する前」の測定結果をとっておくようにしてください。「今の体重」を知らないと、体重が減っているのかどうか判断ができないからです。

また、指標の中には、数値化できない(定性的な)指標もあります。例えば、「睡眠の質の向上」を「目覚めの良さ」で測定する場合。「目覚ましがなる前に自然に目がさめた」「目がさめてからベッドを出るまでの時間が短くなった」「二度寝をしなくなった」というような言葉で記録する方法がありますね。同じく「目覚めの良さ:良い・普通・悪い」といった段階分けをした測定もできます。どのような測定指標でも良いですが、測定する人によって結果(認識)が大きく異なることがないように注意しましょう。

まとめ

ロジックモデルは、社会的インパクト評価の設計に使われるツールのひとつですが、自分たちの事業の未来を考えるのにとても向いているツールです。 最終的に目指しているゴールを再確認すると、今の目の前の業務の見えかたが変わったり、違うアプローチがあることに気づけたりすることもよくあります。

新年を迎えた1月、忙しい日々の業務の中で、どうしても目の前のことに集中しがちな意識を、ロジックモデルを作ることで少し先の未来に飛ばしてみてください。その時は、事業に関わる方みんなで、集まってつくるのがおすすめですよ。

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