経営/マネジメント
非営利型データ・ドリブンの活用 ~ 俯瞰的に捉える3つのポイント
前回の記事『非営利型データ・ドリブンの活用 ~ 3階層で捉えた組織の現状把握』では、組織の現状把握の方法について書きました。その中で、最初に「(現状を)俯瞰的に把握する」ことが大切になってきます。今回は、その具体的なポイントをお伝えします。
1. 安定性を見る
ファンドレイジングにおいて「財源のバランス」をとることが、組織運営の安定に繋がると言われています。財源とは一般的に「会費」「寄付」「助成・補助金」「(自主)事業収益」などを指します。(財源バランスについて詳しくは https://fundrex.co.jp/lab/1001/ の「NPOの多様な財源とその特徴」をご覧ください)
俯瞰的に見るときは、この安定性を「財源のバランス」から確認します。収入を「会費」「寄付」「助成・補助金」「(自主)事業収益」の4カテゴリーに分けて計算します(「融資」など他にもありますが、使われることが多い4つに今回は絞っています)。近年は「マンスリーサポーター」や「ふるさと納税」などのファンドレイジング手法も出てきましたが、いずれも「寄付」にカテゴライズするのが良いかと思います。
ちなみに、寄付データ管理の視点では、「カテゴリー」に加えて「種類」などの項目を用意しておき、「マンスリーサポーター」や「ふるさと納税」の情報を付与します。
2. 柔軟性を見る
先の財源バランスの図で触れた「使途指定の有無」も大切な要素で、組織運営の”柔軟性”に繋がります。
仮に財源において「使途指定の無し」の収入が多いと、当然ですが支出先の自由度が増します。一方で、「指定有」が多いと、組織としての選択肢が限られてしまいます。
例えば、変化の大きい昨今においては、新規にプロジェクトを立ち上げることが求められるかと思います。「指定無」が多ければ組織の判断でスピーディに開始できますが、「指定有」が多いと、当然時間がかかります。
俯瞰的に見るときは、収入をその「有無」で分けて確認します。特に財源のカテゴリー「寄付」での「有無」は一つ一つの寄付ごとに異なりながらも、寄付の件数や金額が外部経済の影響を受け変動しやすいことから、定期的に確認することをお勧めします。
3. 成長性を見る
時間軸による「新規・継続・離脱」のバランスを見ることで、組織の成長具合を押さえることもきます。例えば、マンスリーサポーターの新規入会が多いが、継続期間も短く、退会も多ければ、成長しているとは言いにくいのではないでしょうか。
俯瞰的に見るときは、先の”安定性”の区分や種類のなかで占める割合が多いものに着目します。例えば、マンスリーサポーターであれば、獲得率と継続率(≒退会率)を算出できるようにしておきます。
〈参考〉
サポーターの新規獲得率=
(新規のサポーター人数 ÷ アプローチした未サポーター人数)×100%
サポーターの継続率=
(継続者数 ÷ 継続予定者数)×100%
最後
このように、俯瞰的に見るときには”安定性”、”柔軟性”、”成長性”で数字を捉えてみてはいかがでしょうか。捉えた数字は、過去の数字など何かと比較して見てみることで、よりクリアに組織の現状や将来が見えてきます。