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IMPACT LAB

インパクトラボ

場の声を聴き、全体のモチベーションを上げていく方法~オンラインミーティングで顔出ししてもらえない場合に考えること~

オンラインミーティング(Mtg)での画面オフ

最近、あるメーカー企業に勤務しているマネージャー職の方と話している中で、部でのオンラインMtgの際に、顔出ししてくれなくて困っているという話を聞きました。Mtgでメンバーの表情が見えないのは、何かを決定するMtgでは特にやり難さを感じるものです。

オンラインMtgでの顔出しは参加者の自由意志でもある一方で、映像の情報がないことによるコミュニケーション不活性が発生してしまう面もあるでしょう。

私の体感としても、特に長時間のMtg時には、役割が薄い場面で画面を切ったり、自分の発言がある場合は画面をつけたりと、切り分けるケースも見受けられます。

私が会議を進める立場として考えると、参加者の表情によって話し方や提案、決定事項の調整を行うこともあるので、出来たら参加者の表情は見たいと思います。

ソーシャルセクターでは、感情が豊かな人が多いこともあり、顔出しして表情で意思表示することが得意な人も多いかもしれません。性格的に気恥ずかしくて画面を切ってしまう人も、いるでしょう。私は表情を見て、「○○さん、笑顔でうなずいていただきありがとうございます」「△△さん、今表情曇りましたけど、懸念点などありますか?」と名指ししてお話してしまいますが、この姿勢は、個々人の意見をこまやかに吸い上げる、というよりは、「その場の声を聴く」という意味合いが近いです。決定事項を、場にいる全員の個々が100%納得してもらいたい、というよりは、それぞれの合格点をもらって全体最適に落ち着けるということです。

『ティール組織』で学ぶ会議の方法

有名な『ティール組織』の本では、様々な企業や非営利団体の事例が紹介されていますが、会議の場での方法もいくつか紹介されています。

例えば、「だれも座らない椅子」という例があります。「だれも座らない」を準備し、その席を組織の代表する席にしておき、会議の場面ではだれでもいつでも席を替わって、組織の声に耳を傾け、自ら組織の声になることもできる、という方法です。

オンラインMtgでは実際に座ることは難しいですが、空白の参加者を準備することはできるかもしれません。

または、「ベルを鳴らす」という方法も紹介されています。これは、誰かの意見がその人個人のエゴから生まれているものと感じたときに鳴らすもの、とされています。このベルが鳴っている間は誰も話をせずにその場を観察し、内省するのです。鳴り終わってから議論を再開するのですが、それだけで会議が軌道に戻るという使い方です。実際に自分が鳴らすことを考えるとそれなりに勇気が必要そうですが、例えば発言量の不均衡を感じたときに小さく鳴らすなどということは、出来るかもしれません。

どちらも誰か一人の声に引っ張られて会議が進むことを抑制するもので、つまりできるだけ参加者全員に参加感を感じてもらい、全体最適を作るための工夫です。

そもそも安心安全な場を作るための方法としては、組織的に「瞑想」を取り入れるということも紹介されています。

メンバーが業務を心の奥底から納得して実行するために、振り返りの場が重要として、年に4回「マインドフルネスの日」を設置している会社の例が紹介されています。実践のための労力が大きいものですが、組織的に個々人の自己理解を深める時間を持つことで、自己管理へ通じ、これを組織的に共有経験することでコミュニティが強化され、共通の言語を持つようになる、とあります。

オンラインMtgからは離れてしまいましたが、オフラインで顔を合わせるときに以上のような点を意識し、工夫しながら実践して組織の土台を作り、オンラインMtgでスムーズなコミュニケーションが取れると、組織の力も固まるように思います。

組織のパフォーマンス向上へ

個人レベルで実行できることは、冒頭でも触れましたが、恐れずに名前を呼んで声がけして良いと思います。表情を読んでくれる人が場にいることがわかれば、参加者も顔を出すことのメリットを感じてくれるはずです。

このような行動が、結果組織の決定事項に対して参加者個人の納得度向上につながり、働く個人のモチベーションも上がるのではないかと考えます。それは、組織のパフォーマンスの向上にもつながるでしょう。結果論として、オンラインMtgで顔出ししてくれる人が多くなるのでは・・・?などとも思っています。

参考書籍

フレデリック・ラルー(著), 鈴木立哉(訳), 嘉村賢州(解説).ティール組織― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現, 英治出版, 2018年
フレデリック・ラルー (著), 羽生田 栄一 (監修), エティエンヌ・アペール (イラスト). [イラスト解説]ティール組織――新しい働き方のスタイル 技術評論社, 2018年

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