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インパクトラボ

コロナ禍の今こそ「関係の質」に着目しよう

新型コロナの影響でリモートワークが推奨されるようになって、1年が経とうとしています。働き方が大きく変わり、コミュニケーションを取ることも難しくなってきました。オンライン会議が増えるなど組織の運営も変わってきており、仕事へのモチベーションにも影響が出ているのではないでしょうか。

今回は、前回触れた「組織の成功循環モデル」の中でも「関係の質」について、掘り下げたいと思います。

このモデルは組織の成功のためのものではありますが、個人のモチベーションにもつながります。特にソーシャル業界では、もともとの参加理由が待遇や給与など経済的なものだけではないことが多いために、「関係の質」により、モチベーションが変化することが多いものです。

ソーシャル業界では特に必要

ソーシャル業界では、モチベーションというものを意識することが特に大切で、そのために関係の質に特に着目する必要がある、とするには理由があります。

  • 社会を良くしたいという目的で集まっているため、報酬や待遇だけでは吸引できない
  • 実現したい世界観は個人ごとに様々なので、組織・団体内で共通言語とする必要がより強く存在する
  • 社会課題解決のためには複雑な事象へ対処することが必要であり、個人プレーではなく組織・チームとして対応していく必要がある

コミュニケーション方法や自己開示の温度感は個人差があり、またコロナ禍においても状況が大きく変わってきています。個人が力を発揮するために、今このタイミングで関係に着目するのは重要なことと言えます。

この組織の循環モデルに基づいて組織改善の手法を解説している本『病まない組織のつくり方 』の中では、次のようにあります。

グッド・サイクルは「関係の質」を高めるところから始めます。「関係の質」を高めるとは、相互理解を深め、お互いを尊重し、一緒に考えることです。ここから始めるとメンバーは気づくことが多く、考えることが有意義だと感じるようになり、「思考の質」が向上していきます。有意義だと感じるので自発的・積極的な行動が増え、「行動の質」が向上します。その結果として「結果の質」が向上し、成果が得られて信頼関係が強まり、「関係の質」がさらに向上していきます。

  1. 互いに尊重し合い、一緒に考える(関係の質)
  2. 気づきがあり、共有される(思考の質)
  3. 自発的・積極的にチャレンジ・行動する(行動の質)
  4. 成果が表れてくる(結果の質)
  5. 信頼関係が強まる(関係の質)
  6. 良いアイデアが生まれる(思考の質)

(野口和裕.病まない組織のつくり方―他人事を自分事に変えるための処方箋(Kindleの位置No.216-228).株式会社技術評論社.Kindle版.)

この好循環については、個人的にも実感があります。私があるチームで働いていた時に、経理上である収入の計上漏れが発生してしまったことがありました。これを集計担当者の責任とするのではなく、メンバーみんなが率直に話し合いをする中で、現状のデータの連携だけでは漏れが発生する可能性が高い箇所を見つけました。翌月からはその部分だけは複数の担当者と読み上げを行って確認をするという改善フローを作り、集計担当一人の中で終わる作業ではなくなりましたが、みんなで考えた仕組みなので、達成感を持ちながら取り組むことができました。仕事を循環で考えると、自分の作業が誰かにつながっていることも実感できますので、次の人が作業しやすいようにと思考の質も高まり、より質の高い結果へつながり続けます。スタートは、「率直に話し合いをする」ことです。誰かが一方的に話してわからせるだけでなく、相互に率直に話し合いを行うこと、率直に話せる場の雰囲気を作ることで、関係の質が向上して行動と結果の質が上がります。

成果を上げ続け、働く喜びを感じる健全なチームを作るには、チーム内を、何でも率直に話せる場にすることです。

(野口和裕.病まない組織のつくり方―他人事を自分事に変えるための処方箋(Kindleの位置No.1377-1378).株式会社技術評論社.Kindle版.)

関係の質からモチベーション向上へつながっていく

関係の質がソーシャル業界ではより大切であるのは、手掛かりになりやすいこともあると言えます。そもそも「社会を良くしたい」という想いで集まる人が多いため、関係を少しでも向上させると、その強さがより強固になると考えられるためです。報酬や待遇が目的である可能性が低く理念に共感して集まっている度合いが高い分、価値観の共有もし易い面があるのではないかと考えます。

そして関係の中で納得しながら仕事を進めるということは、自分の意志で行動を決めている実感につながるので、モチベーションが高まります。そしてモチベーションを元に働くことは、長期的に効果を上げることにつながるのです。

「コミュニティの因子」の3つでも

先月もご紹介しましたが、CRファクトリーの『コミュニティマネジメントの教科書』では「コミュニティの因子」として次の3つを重要視しています。

  1. 理念共感と貢献意欲
  2. 自己有用感
  3. 居心地の良さ

3つ目が、関係性を指しています。関係の質の向上のために「相互理解」をキーワードとし、愛着と関係を育むこと、組織の基盤の仕組みとして取り入れることが重要であるとしています。

またCRファクトリー内でも、組織の関係の質を上げるために取り組まれていることがあるとのことです。

例えば理念共有のためのギャザリングは年4回実行しています。ここではメンバーの成果を称え合い、気持ちをすり合わせる目的で行います。他にも、メンバーの相互理解を深めるために壁打ちワークを月1回、組み合わせを変えて行っていて、気持ちよく働く場を作ることを続けています。働く場づくりを、個人の努力の上に成り立たせるのではなく、個性に依存するのでもなく、組織に仕組みとして導入しているのです。

ちなみにCRファクトリーでは、「壁打ちワーク」のサービスもあります。実は壁打ちのように「率直に話す・話してもらう」ためにもスキルが必要なため、そのためのワークに参加してみることも相互理解を強化するために有効です。 自分の考えや感情を率直に話し聞き合う世界が広がり、組織やチーム内に好循環が生まれ、結果、成果を上げる団体が増えることを願っています。

 長谷川 綾 Linkedin

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