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IMPACT LAB

インパクトラボ

あたりまえ?でも実際は?―ミッションや目的の見える化を行う大切さ

働くにあたってモチベーションを大切にしたいという個人的なこだわりから、このインパクトラボではPSMという理論をご紹介しております。いくつか論文を読んでいる中で、感覚的にはわりと当たり前と感じることに出会い、今回はそれをご紹介いたします。

PSM理論で証明された「ミッションバランス」

それが、「ミッションバランス」です。
前回の記事でもご紹介しましたが、組織のミッション・目的・目標を明確にしていくことが、メンバーのモチベーションを活性化させ、生産性が上がるという有効なエビデンスを挙げています。(Wright, Bradley E., Moynihan, Donald P., Pandey, Sanjay K. (March–April 2012). “Pulling the Levers: Transformational Leadership, Public Service Motivation, and Mission Valence”. Public Administration Review.)

この論文では、公務員・ソーシャル業界の従事者のモチベーションや、パフォーマンス、コミットメントを高めるプロセスとして、リーダーシップによる目的・目標を明確にしていくことが重要であると強調しています。

ここで行われた調査では、PSMの要素、変革的リーダーシップ、ミッションバランス、及び報酬がどのように影響しているか、米国の地方自治体の上級管理職向けに大規模な調査を行い、統計上有意な傾向が表れているかを証明しています。
結論としては、次の通りとなりました。
・「明確な目的・目標」という要素が高いPSMとミッションバランスを生み出し、パフォーマンスを上げている

日本の実際のNPOの現場では

こういったエビデンスがある一方で、現在ファンドレックスでは、いくつかの団体に実際のモチベーションの工夫について、ヒアリングをしています。その中で、働く人のモチベーションのために工夫している具体策が見えてきています。その前提ともいえることが、この「ミッションバランス」であり、団体のミッションや目的を浸透させるために、様々なことを実行していました。例えば、以下のような工夫事例が見られました。

  • 朝礼や定期的なMtgでの発信
  • 職場の見えるところに、ミッションや価値観を掲げている
  • 業務目的については、リーダーからメンバーが納得するように対話を行っている
  • 目的を浸透させ、現場に裁量を持たせている

上記でご紹介した論文では、「当然と思える結果であるが、実際にやってないことも多い。リーダーは、説明しなくても当たり前と捉えて、説明が必要ないと考えている」とあり、達成したいこと・それを望んでいる理由を表現し、使命を「執拗に」伝えるメカニズムを考え、積極的に取組む必要性を強調しています。

今回記事では割愛していますが、たったこれだけの結論に様々な統計手法を用いて有意さを結論しています。単純な結論ではありますが、そんなのわかっている、と思考停止せずに、今一度自分たちのミッションや業務目的を伝えているか、定期的に発信しているか、仕組み化されているか、考えてみましょう。

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