調査 / レポート
AFP icon 2023イベントレポート2:企業ブースから3つのキーワード
AFP icon 2023のイベントレポート第2弾は、企業ブースについて。
毎回100以上のブースが並ぶマーケットプレイスは、まずその大きさと派手さに衝撃を受けますし、ここにしっかり市場があるということを肌で感じることができる、AFP iconの見どころのひとつ。
来るたびに、新しいサービスやアップグレードされたサービスを見つけることができるので、私も毎回ワクワクしながら見て回ります。今日はその企業ブースから、3つのキーワードをご紹介します。
1. ノウハウのインストール
ドナーレンジチャート、ドナーピラミッド、ドナージャーニーなどの基本的なフレームワーク、A/Bテストやモバイル対応などのユーザー最適化対応、寄付単価と選択肢の設定やナッジなど寄付行動に関連するメソッド等々。ファンドレイジングでは、データ分析、マーケティング、行動経済学など、様々な専門知識を応用しますが、常にPDCAをまわして最適解を適応し続けるというのはどの団体にとっても難しいことだと思います。
今年の企業ブースを見て驚いたのは、これらのフレームワークやノウハウがインストールされたシステムが、十分に使えるレベルで出てきていることです。例えばあるサービスでは、今寄付フォームにアクセスしている「1人」に表示する寄付額や決済方法を自動で最適化できたり、寄付ボタンにクリックを促すモーションを付けたりできるのですが、素晴らしいのはそれらの最適化が全て、同じサービスを使っている世界中のデータをもとにAIによって行われており、データによる裏付けがあるということ。
この部分については、もう少し調査をした上で詳しくサービス紹介をしたいと思っていますので、続報をお待ちください。
2. 寄付者を知る
レポートの第1弾で「寄付者を知って、寄付者を主語に」というキーワードをご紹介しましたが、その傾向はソリューションにも表れています。
BlackbaudとDonorparfectを筆頭に、20社以上がしのぎを削る寄付者データベースの市場では、寄付者分析やセグメントの機能が強化されていました。システム内でドナージャーニーやムーブスマネジメント(ドナーピラミッドのステップアップ)に相当する設計ができたり、分析した寄付者データをもとに最適なネクストアクションの提案をしてくれたり、各社それぞれに機能がAI化・自動化という形で進歩しています。
さらに、多くの寄付者データベースはマーケティングツールやアプリが搭載または連携可能になっています。データを入れただけにせず、インプットしたデータを分析・セグメントし、そのままマーケティングやコミュニケーションに活用できるという訳です。
また100以上あるブースの中で5つと、数は少ないのですが「ドナーリサーチ/プロスペクトアイデンティフィケーション」と分類されるサービスがあります。様々なデータをもとに、高額寄付の可能性が高い寄付者のデータベースを提供するサービスで、なかには、iWaveのように日本での導入実績があるサービスも出てきています。これから日本でも利用団体が増えるのか、注目したいところです。
3. 多様化するニーズへの対応
パンデミックを経て、寄付者とのコミュニケーション手法は多様化しています。
対面が基本だった大口寄付者とのコミュニケーションを、あえてオンラインのままで継続していたり、以前よりも幅広い層にダイレクトメールを送ったり、Peer 2 Peerファンドレイジングに注力したり。団体によって異なる戦略とニーズに応えるように、例えば、ダイレクトメールを作成から発送まで丸ごとアウトソースできるサービスや、P2Pに特化したサービス、さらに手書きのカードを機械が代筆してくれるサービスまで、ソリューションも多様化していました。
ブースツアーの様子を体感したい方は
たくさんある企業ブースの中から今年注目のブースを回る「ブースツアー」の様子が、日本ファンドレイジング協会のFacebookで公開されています。全部で4本。体感してみたい方は、ぜひご覧ください。
イベントレポート第2弾は以上です。最後となる第3弾は、現地NPOの視察ツアーの様子をお届けします。お楽しみに!
現地からのライブ配信アーカイブのお知らせ
今回は、現地からライブ配信にも挑戦しました。初めての試みだったので冒頭あたふたしていますが、ライブ感としてお楽しみいただけたら嬉しいです。※いずれもFacebookライブのアーカイブが開きます